香川県に本社を構えるアイムが化粧品ブランド「RICE FORCE」のFacebookページを開設したのは2010年。日本版と海外版の2つを運営しており、ファン数はそれぞれ約6万人と約25万人だ。電話やはがきで培った“通販リテラシー”がFacebookページの運営に生かされている。スケダチの高広伯彦氏がアイムのゼネラルマネージャー山下省三氏に聞く。
高広伯彦氏(以下、高広) Facebookページのマーケティング担当者にとって、「RICE FORCE」(ライスフォース)は成功したケーススタディとしてよく知られています。まずは、RICE FORCEを展開するアイムさんのビジネスの生い立ちを、マーケティングという観点から振り返っていきたいと思います。
山下省三氏(以下、山下) 本社は四国の香川県にあります。弊社の母体となったイマージュは、40年前にオーナー社長の代から衣料品のカタログ販売をしていました。イマージュの一事業部と地元の酒屋が“ライスパワーエキス”という成分を開発し、それがきっかけとなって12年前に独立しました。当時、イマージュはすでに数百万件の顧客データベースを持っていたので、それを足がかりに販売戦略を考えました。
それまでのイマージュの業態は、複数の商材を取り扱う「総合通販」でしたが、アイムになり、1つの商品を売り続ける「単品通販」という業態へシフトする必要が出てきました。これはグループとしての大きな転換点であり、チャレンジであったと思っています。
最初の5年ぐらいは売り上げが伸びずに苦しい思いをしましたが、2004年にCSやケーブルテレビで通販を始めたところ、徐々に売り上げが伸びはじめました。当時、化粧品のテレビ通販というのはほとんどありませんでした。その結果、1億円の売り上げが1年間で10億円になりました。次の1年間で33億円。それから50億円弱まで増えました。50億円弱のころはCSやケーブルテレビだけでなく、地上波テレビのスポット枠でもやっていました。テレビ通販の最盛期が2007〜2008年です。で、時代は変わって、次はWebだと。
高広 Webマーケティングはいつごろから始められたのですか?
山下 2004年ぐらいからですね。当時は基幹システムとの連携ができず、受注情報を手入力していました。2006年にシステム化した段階ではWeb経由の売り上げは少なかったのですが、今(2012年)では、売り上げの大多数がWeb経由です。
高広 Web経由の売り上げが伸びてきたとき、テレビ通販単独での売り上げはどうでしたか?
山下 現在、テレビ通販に割く予算は最盛期の半分以下です。CPA(Cost Per Action)やCPR(Cost Per Response)を計算した結果、Webの方が効率的ということになりました。テレビの最盛期よりも今(Web)の方が費用対効果は高いです。
高広 なるほど。では、そのWebマーケティングといった場合、どのような施策を実施されてますか?
山下 アフィリエイト、純広告、SEMです。
高広 先ほどCPRの話になりましたが、御社の場合“R(=レスポンス)”とは何になります?
山下 基本的には商品のトライアルキットのオーダーですね。また、本商品の注文、つまりリピート率を含めた指標も見ていまして、最終的な収益性を重視しています。
高広 SEM、アフィリエイトなどを通じて顧客にトライアルキットを送付し、その後、メールで連絡する、という流れですね。
山下 もちろんメールも送っていますが、弊社は、電話という手法も重要視しています。また、(紙の)DMも送りますし。時代に逆行しているかもしれませんね。電話は一切しませんという企業もありますから……。
高広 差し支えなければ、どのように電話をされているのか聞きたいんですが。
山下 「使ってみてどうでしたか?」など、お客さまのフィードバックを直接得るために、電話を活用しています。そして、1人ひとりのお客さまに合ったタイミングで電話をすることに努めています。
高広 Webでは企業とお客さまが直接つながるので、インタラクティブなコミュニケーションが大事だといわれていますが、電話も同じようにインタラクティブなものですよね。ただし、電話の場合は相手の時間を束縛してしまう。だから、嫌われる内容/態度で、電話をしてしまうとリピーターになってくれないし、売り上げにもつながらないわけですよね。
山下 確かにテレマーケティングは難しいです。地方のオペレーター担当の方が、うまかったりするんですよね。なぜなのかはよく分からないです。標準語じゃない方が親近感を持たれやすいのかな。
高広 面白い話ですね。
山下 弊社の場合は単品通販ですので、テレマーケティングはとても重要です。
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