日清食品「チキンラーメン ひよこちゃん」公式Facebookページのオープンは2012年7月。オープン後わずか半年で「いいね!」数24万はマーケティング戦略上、成功しているといえるのだろうか? 運営戦略を担当する同社マーケティング部 三宅隆介氏にスケダチの高広伯彦氏が聞いた。
高広伯彦氏(以下、高広) 日清食品でソーシャルメディアマーケティングに取り組み始めたきっかけは何だったんですか?
三宅隆介氏(以下、三宅) 単発での事例は以前からありましたが、本格的にソーシャルメディアを活用し始めたのは今年(2012年)に入ってからですね。具体的にはカップヌードルの広告キャンペーンで、AKB48を起用してFacebookなどソーシャルメディアでの拡散を狙いました(「REAL」カップヌードル キャンペーン)。以前から社内には「何かやらなきゃ」という焦りはありました。
当初の目論見では、国民的アイドルのAKB48を起用すれば(キャンペーン情報が)どんどん拡散して、あっという間に何十万人ものファンができると思っていたんです。しかし、そんなに簡単ではなかった。AKB48のプロモーション連動ネタだけではなく、カップヌードルというブランド自体のファンを意識した商品のレア情報や豆知識をカップヌードルらしい発信の仕方で提供することで反響が大きくなりました。現在、カップヌードルのFacebookページには14万人のファンがいます。
高広 チキンラーメンとしてのソーシャルメディアの活用はいつからですか?
三宅 「チキンラーメン ひよこちゃん」Facebookページの企画を立てたのは(2012年)2月頃です。オープンは7月。私自身はマーケティング部に所属していまして、チキンラーメンの担当でした。チキンラーメンには「ひよこちゃん」というキャラクターもいるし、Facebookとは親和性が高いと感じていたので、カップヌードルでの成功/失敗を見届けるまでもなく、とにかく始めようと思っていました。
高広 三宅さんはマーケティング部に所属しながら、社内のソーシャルメディアプロジェクトチームに加わっていらっしゃるようですが、これはどんな組織なんですか?
三宅 チームのメンバーは私を含む8人で、経営戦略、広報、宣伝、マーケティング、デザインなど社内各部署から集められたメンバーです。このチームのミッションは日清食品としてのソーシャルメディアの運営ガイドラインおよび戦略の策定、データ分析などです。
高広 日清食品ではマーケティング部と宣伝部は分かれているんですね。
三宅 そうです。宣伝部は独立していて、媒体の買い付けや日清食品らしいクリエイティブのトーン&マナーを守り、広告の制作ディレクションを行う宣伝専門部署です。マーケティング部は宣伝にも口を出しますが、基本的には商品ごとのブランドマーケティングを専門に行います。
高広 宣伝部は日清食品という企業全体のブランドマネージメント、マーケティング部は各商品ごとのブランドマネージメントを行っているということですね。ソーシャルメディアの運営は、マーケティング部の各担当者が行っているということですが、ということは、ソーシャルメディアに関しては、各ブランドごとに運用することが決まっていて、それをプロジェクトチームが管理しているということですか。
三宅 はい。ソーシャルメディアマーケティングに本格的に取り組む前は、各担当者が思い思いにソーシャルメディアを使ったキャンペーンを組んでいましたが、企業として、統一的な(ソーシャルメディア活用における)ガイドラインを持っていた方が良いという判断になりました。
現在では、マーケティング部の各商品の担当者とソーシャルメディアチームが連携しながら企画を進めていくという方法をとっています。
高広 面白い体制ですね。ヴァーチャルではなく、実際のソーシャルメディアの専任チームを置くケースは他社にもありますが、(ソーシャルメディアと各商品の)マーケティング担当者が集まって企画を決めていくというのは珍しいです。
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