文具王手帳を経て、南氏や文具王以外の“とがったユーザー”が開発するケースが出てきている。それが最新作の一つ「デザインする手帳」だ。
これは「超」整理手帳のヘビーユーザーたちがコアな知恵を集めあって作ったもの。複数人のチームだが、直接のミーティングを重ねることで、CGMではない集合知のあり方の実験にもなっている。
「彼らには知恵を出してもらいテストをしてもらっています。ただし素材の調達や設計など手間とコストがかかる部分は当社が負担します。ユーザーと会社の役割分担もスーパーコンシューマーが普通の製品開発とは違う部分です」
「デザインする手帳」「超」整理手帳のカンガルーホルダーを装備し、ベルクロと長短各種のバンドを備えた。スマートフォンやWi-Fiルーター、ロディアなどを自由に取り付けられる新しいコンセプトの手帳だ。
購入層として想定しているのは、これらの道具を持ってはいるが使い方がばらばらなユーザーたち。だから一つの製品でカバーできるようなものを考えて開発した。開発のプロセスはこちらに詳しい。
この「デザインする手帳」もそうだが、スーパーコンシューマーは、開発のプロセスを、特許になりそうなものは例外としつつ、ポッドキャストやメルマガなどに流しつつオープンにしている。この辺も普通の製品開発にはないことだろう。
南氏はさらに話す。
「スーパーコンシューマーは、アイテムの種類には制限を設けていません。革小物に限らず、自転車でもカバンでも制作していきます。その中からは、いつか新しいクラシック(古典)が生まれるはずです」
スーパーコンシューマーには、今後どんな製品が出てくるのか。そしてなにが定着していくのか。すでに薄い財布は、「小さい財布」が派生するまでになっている。
また、「保存するメモ帳」からは「薄いメモ帳」が生まれている。次世代のクラシックがどんなふうに開発され、どんなふうに定着していくのか。スーパーコンシューマーの今後が楽しみだ。
アスキー勤務を経て独立。手帳やPCに関する豊富な知識を生かし、執筆・講演活動を行う。手帳オフ会や「手帳の学校」も主宰。主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)など。誠Biz.IDの連載記事「手帳201x」「文具書評」の一部を再編集した電子書籍「文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編」を発売
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