少しずつ中野BCの強さの理由が見えてきたように思えるが、ここで同社における、いかなる環境変化が訪れようとも決して変えることのない“不変”の対象について聞いてみた。
「南高梅の用途拡大を願って梅の事業に進出したという経緯からも分かることですが、弊社では徹底して地元・和歌山にこだわり続けており、それは何があっても決して変えることのない不変の対象です。そしてそれが弊社の強みにもなっているんです。
例えば、一番良いタイミングを見計らって摘んだ最高の南高梅をその日の内に漬け込むことで、群を抜いた鮮度が実現できているのも、地元へのこだわりがあればこそです」
カクテル梅酒に入れる素材を選ぶ時も、クエやサンマに至るまで、和歌山県ならではの産品にこだわっていたことが思い出される。梅酒だけではない。中野さんの醸した日本酒でも、和歌山県産の山田錦を全量使用するなど、そのこだわりは徹底している。
「不変の対象をもう1つ挙げるならば、それは、先ほど申し上げた“技術研究開発型企業”であることでしょうね」
躍進の要因を解明するに当たって、どうしても避けて通ることができないテーマがある。それは、「個々の社員の心に火をともして、組織全体をいかに躍動させるか」ということだ。
「大きく分けると2つあります。まず1つ目として、年間MVPに授与するハッスル賞というものがあります。弊社では目標管理制度を実施しているのですが、売り上げ、コストダウン、改善提案の数、研究開発の発表回数など、部門を問わず、各人の目標の達成具合を見てMVPを選出しています。全社員の注視の下、社長から直接手渡される晴れの舞台になっています。
直接手渡すと言えば、業績賞与も社長からパート社員も含む全社員に対して、必ず何かひと言ずつ添えて手渡すようにしていて、これもとても喜ばれています。
2つ目としては、社員旅行が挙げられるでしょうか。前回は全社員で東京に行って、二手に分かれて観光地を巡りました。その中でも重要だったのは、銀座などの飲食店に行って、弊社の商品が置かれている状況を全社員に見せたことです※。
日々の業務の中で、間接的にそうしたことを聞かされていたとしても、『百聞は一見に如かず』で、自らそれを目の当たりにし、お店の人やお客さんからの喜びや感謝の声を直接聞くことで、社員は達成感や誇りを感じ、心に火が付くのです」
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