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» 2018年09月12日 07時00分 公開

ブランディングの先にあるもの:テレビCMなしでも急成長するBOTANIST、Instagram活用の次なる展開とは (1/2)

自然派のライフスタイルブランドとして若い女性に人気を博しているBOTANIST。Instagramを中心としたオンラインプロモーションで着実に認知度を高めてきた同ブランドの次なる狙いとは。

[鈴木朋子,ITmedia マーケティング]

 Instagramの投稿でブランドの世界観に共感し、気になった商品を検索して興味関心を醸成させていくという消費者行動は、今やごく当たり前のものとなっている。若年層、それも主に女性に向けたブランディングを考えるとき、Instagramは今や欠かせないチャネルの1つといえるだろう。

【訂正あり】本記事は、初出時より訂正した箇所があります。

 Instagramを中心としたオンラインプロモーションで認知を高めることに成功している新興ブランドも出始めている。「植物と共に生きる」をコンセプトに、シャンプーやトリートメント、ボディーケアなどの消費財を提供するライフスタイルブランドのBOTANIST(ボタニスト)もその1つだ。

BOTANISTの製品群 BOTANISTの製品群

Instagramはブランドの思いを右脳に伝える重要な顧客接点

 BOTANISTは2015年にボタニカルシャンプー・トリートメントを発売して以降、EC専業から出発して徐々にドラッグストアなどの店舗へと販路を広げてきた。製品ラインアップも拡張し、2018年6月にはシリーズ累計出荷5000万本を突破した。

 シャンプー1本1400円(税別)という価格設定ながら、その人気は他の名だたるブランドに全く引けを取らない。楽天が発表する「楽天ベストコスメ」では2016年から2017年の2年連続で1位を受賞し、2018年も上半期1位を獲得している。

 短期間で成長を遂げたBOTANISTだが、この間テレビCMは全く打っていない。交通広告や雑誌広告などは出稿しているが、予算比率でいうとプロモーションの大半はデジタルで、特にファンコミュニケーションではInstagramを重視しているという。

 BOTANISTを展開するI-ne(アイエヌイー)販売本部ECセールス部部長の小松 悠氏は「Instagramはインスピレーションを与えることができるメディアだと考えています。言葉ではなくビジュアルで、ブランドが伝えたいことを右脳に働きかけられる点で強い」と語る。

小松 悠氏 小松 悠氏

 BOTANISTでは現在、公式アカウント(@botanist_official)において、ブランドの世界観を伝える動画や写真を積極的に投稿し、それをInstagram広告として発信している。フォロワー数は本稿執筆中の2018年9月7日時点で4万2000人。投稿への反応も良く、コメント欄ではフォロワーとの交流も活発だ。

 また、東京・原宿にある旗艦店とそこに併設されたカフェはインスタ映えスポットとして人気が高く、そこからの友人の投稿を見て自分もカフェに訪れたりBOTANISTの商品に興味を持ったりする人も多い。オンラインのみならずオフラインも含めてInstagramが消費の流れを作っているのだ。

ブランディングとコンバージョンを両立させる

 Instagramは現在のBOTANISTにとって、基本的にはマーケティングファネルの一番上の部分、つまり新たな顧客へアプローチするための手段だ。そのため、広告においても現状ではCPA(顧客獲得単価)を追っているわけではない。むしろ定性調査も入れつつプレファレンス(好意度)や認知率といったブランドエクイティに関わる指標で施策を評価している。

 もちろん、ブランディングの先には売り上げの増大という目的がある。さらにいえば、間接的なブランドリフトだけでなく、そのままECサイトに誘導してダイレクトに購入に結び付けたいのが本音だ。

 BOTANISTにとってECは出発点であり、今なお大きな販売チャネルでもある。Instagramによって既にオンラインにいる人にもう一歩のアクションを促さないのはもったいない。

 とはいえ、世界観を大切にするブランドなので「今なら半額」「初回お試し無料」などといった、よくあるあおり文句で購入を促すようなまねはできない。イメージ訴求と購入促進の間のミッシングリンクを埋めることは、BOTANISTにとって次なるチャレンジになるだろう。

 そこで期待が高まっているのが、2018年6月にInstagramに追加された「ショッピング機能」だ。これは、Instagramにアカウント(ビジネスプロフィール)を持つブランドが、投稿内に埋め込んだショップボタンから商品購入ページへシームレスに遷移できるようにしたものだ(関連記事:「Instagramが日本でもショッピング機能を搭載、その活用法と期待される効果は?」)。BOTANISTはテストパートナーとして、サービス公開前からショッピング機能を導入している。

ショッピング機能 ショッピング機能

 これまでは、投稿を見てからECサイトへ移動し、そこで目当ての商品を探す必要があった。そのひと手間のために離脱する人が多いのは想像に難くない。ワンクリックで購入ページに飛べるということで、わざわざ検索させる手間を省くことができる。また、そこで購入に至らなかったとしても、訪問履歴が残ることで、リターゲティング広告のためのトリガーに活用することも考えられる。

 「体験の中で購入までいけるというのは、お客さまが求めていたことでもあると思います。具体的な数値はお伝えできないのですが、Instagram経由の購入は他のECサイトよりもLTV(顧客生涯価値)や継続率が高いと考えています。ブランドをしっかり認知して購入していただけるからです」(小松氏)

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