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» 2017年07月27日 09時00分 UPDATE

セミナーレポート:製造業のデジタルマーケティングはなぜ成果が出ないのか (1/2)

2017年7月12日にアイティメディアと富士通総研が共催した「製造業のためのデジタルマーケティングセミナー」の内容をダイジェストで紹介する。

[やまもとはるみ,ITmedia マーケティング]

 アイティメディアは2017年7月12日、富士通総研と共同で「製造業のためのデジタルマーケティングセミナー」を開催した。

 製造業においても、顧客の購買行動の変化に合わせて営業やマーケティング手法がデジタル化している。一方でデジタルマーケティングの導入や運用について「何から始めたらいいか分からない」という声は少なくない。目的がはっきりしなければそこに到達するための最良の手段も分からない。「とりえず」マーケティングオートメーション(以下、MA)ツールを導入しても成果が出ないというのは、逆に不思議でも何でもない話だ。

 そこで今回のセミナーでは、「データ」と「コンテンツ」の活用方法を中心に、製造業におけるデジタルマーケティング施策の回し方を紹介した。富士通総研からは、 コンサルティング本部 デジタルマーケティンググループ シニアマネージングコンサルタントの田中秀樹氏と、同グループリーダーの池田義幸氏が登壇。アイティメディアのセッションは、リード研究所 製造業担当の山岡大介が担当した。本稿ではセミナーの概要を紹介する。

製造業のデジタルマーケティングはなぜ成果が出ないのか

富士通総研の田中秀樹氏

 「デジタルマーケティングを実施している企業で成果を実感しているのは37%。中でも製造業についてはB2Cで20%、B2Bで22%と、平均に比べて一段と低い」。富士通総研でICTに関するリサーチやデジタルマーケティングの導入支援を手掛ける田中氏は、同社が2016年9月に実施した調査からショッキングな数字を紹介した。

 年商上位1万社のマーケティング担当者を対象にデジタル化への認識とデジタルマーケティングの実態を聞いたこの調査結果のポイントは、以下の3点だ。

  1. デジタル化により、B2CだけでなくB2Bの営業現場でも変化が見られ、多くの企業が今後の変化を予想している
  2. デジタルマーケティングは外食・小売業などが先行しているが、製造業でも3割以上が取り組んでいる
  3. デジタルマーケティングで成果を挙げているのは導入企業のうちわずか37%で、製造業においてはその数はさらに少ない

 なぜ製造業のデジタルマーケティングはうまくいかないのか。田中氏はB2B製造業におけるデマンドジェネレーションの実態を以下のように分析する。

 従来型の営業スタイルでは、展示会などで獲得したリードは営業の手に渡り、訪問によるフォローや商談、受注までのプロセスを営業担当者が担っていた。一方、デジタルマーケティングでは、展示会やWebで獲得したリードをMAツールなどで育成・選択するところまでをマーケティング部門が担当する。そして、見込みのある案件を営業に渡すことになる。ここで「渡したリードを営業がフォローしてくれない」「案件化できない」といった問題が浮かび上がる。リード選択において明確な基準がなく、マーケティング部門が定義する見込み度合いと営業のそれにギャップがあるというわけだ。

 この背景には、日本のマーケティングがこれまで販売促進中心だったということがある。欧米においては、マーケティングは「マーケティングコミュニケーション」から「顧客獲得」という新たな価値創造にシフトしている。目的が明確になることで、顧客獲得に向けたプロセスも確立され、そのためのツールとしてMAツールが活用される。一方、日本では、ツール導入が先行している感が否めない。そこに、もともとの顧客理解の不足もあって「想像のみで作られたカスタマージャーニー」といった問題が生じてしまうのだ。

スモールスタートで成果を挙げる

 日本の製造業がこの先、デジタルマーケティングで成果を挙げるためにはどうすればいいのか。田中氏が掲げるキーワードは「スモールスタート」だ。

 一般的に、デジタルマーケティングの実施には以下のようなステップが考えられる。

  1. 意識共有:デジタルマーケティングへの取り組み意識を、部門を越えて全社的に共有する
  2. 全体図策定:顧客理解を進め、目指す姿を明確にし、どこから何を行うのか全体図を策定する
  3. 施策検討:ターゲットおよび営業プロセスを分析し、誘導シナリオと役割分担、必要なコンテンツを用意する
  4. トライアル:手動で施策を実施し、ターゲットの反応を評価してシナリオやコンテンツを見直す
  5. 本格実施:MAツールやインサイドセールスを活用して施策を自動化。PDCAを回す

 5つのステップのうち、意識共有を図りつつ、全体図策定の前にまず商材を絞って「施策検討」と「トライアル」の部分を実施してみるのがスモールスタートだ。

 顧客は課題解決のための製品やサービスを探している。そして、そのために必要な情報は業種や商材によって異なる。そこで、まず対象となる商材を限定し、自社サイトや検索エンジンのデータ分析の結果から顧客の購買プロセスをきちんと理解する。それを基に最適なシナリオを作成し、コンテンツを用意する。顧客理解からコンテンツ制作までのプロセスで成果が上がったら、その手応えをもって全体図を策定し、本格実施へと展開していくべきなのだ。

 「デジタルマーケティングにおいて、ツールはあくまでも手段であって、その導入が目的化してしまっては成果は出ない。今までは顧客を理解できていなかったという認識に立ち、顧客の課題や購買プロセスの理解を深めること。そうなれば、コンテンツについても、単に自社サイトに製品情報を置いておくだけでは不足であることが分かるだろう」と田中氏は述べる。まずは顧客が抱える課題や検討過程に合わせたコンテンツを用意し、何がどれくらい響いたか、データを検証し次の施策に生かしていくことが大切だというわけだ。

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