第4回 拡張現実をマーケティングにどう用いるか【連載】ARをマーケティングに応用する

どうすれば拡張現実の技術をマーケティングに生かすことができるのか。マーケティングの視点から拡張現実の利用方法を提案する。

» 2013年01月17日 08時29分 公開
[亀山悦治,ナレッジワークス]

ARを活用する必然性、その効果

 「AR(拡張現実)を使用したプロモーションを行ってみたけれど、まったく効果がなかった(効果が分からなかった)」ということを2008〜2010年にはよく耳にしたものだ。また、お客さまの中には、「うちは去年数百万かけてやったけど失敗したから、ARは社内稟議が通りにくい」など、うんざりした様子の方もいらっしゃった。

 そもそもどのような経緯でそんな結果になってしまったのだろう。ARを「魔法の杖」のように捉えている人たちがいるようだ。また、ARそのものを目的としてしまっている人たちもいる。彼らは“冷静に考えれば通常は犯さない過ち”を犯している。あなたはどうだろう? あなたが作成した企画書には、ARを使用する必然性や効果が明示されているだろうか。

1. 提供側は目的を明確に

 「まだどこもやっていない新しいものを」という理由だけで、“ARを使用した何か新しいこと”を提案したり、「上層部からARを使用した提案を求められている」からARを絡めた企画を立案したりするケースがいまだに多く見受けられる。しかし、そのような動機で出発した企画はたいがい失敗する。

 よく聞くのは、「このARの企画は、世界初ですかねぇ?」「プレスリリースを出した時、話題になりますかねぇ?」というような、ARの使用による話題性を売りにしようと頑張るケースだ。企画立案者は実は、企画の本来の目的が話題性の喚起にはないことに気がついているはずなのだが、このようなケースはなかなかなくならない。

 以下に提供側が考えるであろうARの代表的な使用目的を書き出してみた。

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