「AIの無法地帯」 広告業界が今すぐ取り組むべき4つの項目とは?(2/4 ページ)

» 2025年09月30日 06時00分 公開
[Kevin AlveroMarketing Dive]
Marketing Dive

広告業界は「AIの無法地帯」状態

 現在の広告業界は、まさにAIにおける「無法地帯」に存在している。技術は加速度的に進化しているが、ルールは追い付いていない。

 もちろん、AIがもたらす恩恵は計り知れない。マーケターの作業効率を高め、キャンペーンを最適化し、数年前には想像もできなかった方法でクリエイティブをパーソナライズできる。しかし、進歩の裏には現実的な問題もある。例えば、偏見がシステムに忍び込み、誰にも気付かれないまま強化されることもある。

 誤情報は大規模に拡散し得る。低品質なAIコンテンツはすでにインターネット上で氾濫(はんらん)し、信頼を損ねている。

 欧州刑事警察機構(Europol)の予測によれば、2026年までにWebコンテンツの最大90%がAI生成となる可能性があるという。一部のAI駆動型サイトは、広告収益最大化を狙ってすでに1日1200本以上の記事を量産している。

 共通の規範が欠如している現状では、ずさんな運用・悪意ある行為を容易に許してしまう。説明責任がなければ、デジタルメディアの土台である信頼は崩壊しかねない。それが現実になれば、業界全体が被害を受ける。

 責任あるAI活用が求められているのは、広告業界だけではない。そもそも金融サービスやヘルスケアなど他の分野でも、AIの利用方法は厳しく精査されている。メディアや広告業界にも同様のレベルが求められていくのは時間の問題であり、今から備える企業は何もせずに待つ企業よりも、有利な立場に立てる。

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