2022年9月に1号店がオープンして以来、わずか2年半で365店舗へと急成長を遂げている「鰻の成瀬」。社長の山本昌弘氏は飲食未経験だというのだから驚きだ。「鰻の成瀬」では、常連客を増やすためにどんな工夫をしているのか。
2022年9月に1号店がオープンして以来、わずか2年半で365店舗へと急成長を遂げている「鰻の成瀬」。365店舗のうち直営は12店舗で、主にフランチャイズ方式によって出店数を伸ばしている。運営元であるフランチャイズビジネスインキュベーションの山本昌弘社長は、飲食業界未経験というから、驚きだ。
繁盛店をつくるための必須要件について、「『リピーターの定着』『顧客単価UP』『満足度向上』の3つを押さえることだ」と語る山本社長。同社はこの3つを実現するために、LINEを活用している。
鰻の成瀬では、どのようにLINEの友だちを増やし、いかにブロックされずに常連客とつながり続けているのか。また、FC加盟店でもLINE活用を定着させるために、FC本部からどのような働きかけをしているのか。
この記事は、LINEヤフーが5月20〜21日の両日にわたって開催した「Hello Friends! W!th LINEヤフー」のセッションの中から、「急成長中の飲食店『鰻の成瀬』『出汁林』の社長に聞いてみた!集客・売上を増やし繁盛店をつくる、LINEの使い方」をもとに、飲食店におけるLINE活用の効果的な手法を紹介する。
鰻の成瀬がLINE公式アカウントを開設したのは、2024年1月のこと。たった1年と少ししかたっていないにもかかわらず、今年の3月にはLINE公式アカウントの友だち数は37万を超えている。出店スピードだけでなく、LINE公式アカウントの友だち数が伸びるスピードも驚異的だ。
鰻の成瀬は、全店舗でそれぞれLINE公式アカウントを立ち上げて運用しており、FC本部が一括管理するスタイルはとっていない。そのため、37万人という数字は、直営店とFC加盟店の合算したものだ。
FC加盟店の加盟料の一部を使って、FC本部でLINE公式アカウントのライトプランを契約している。これが鰻の成瀬が導入している唯一のCRMである。
加盟店のオープン日にあわせて、QRコードを記載したポスターやお店紹介カードをFC本部から送付して、店内に設置してもらっている。
「FC加盟店にLINE公式アカウントの作成を委ねると、費用負担を嫌ってやらないオーナーも出てきてしまう。しかし、このようにFC本部がお膳立てをしてあげれば、やらない手はありません。加盟契約を締結する前にも、LINEの公式アカウントを活用する旨は伝えてあります」(山本氏)
LINE公式アカウントの作成こそ全店に必須で求めているが、その他のショップカードの導入の有無や活用方法は、全てFCオーナーの裁量に委ねている。
「飲食業の経験があるFCオーナーは、ショップカードを導入する傾向がある。客足が悪くなる雨の日は来店ポイントを2倍にして、特典にしている店舗もあります」(山本氏)
こうしたLINE活用に関する情報は、500人近い関係者が参加するLINEグループで、活発にやりとりされている。一般的にFC本部はFCオーナー同士がつながるのを快く思わないというが、鰻の成瀬ではFC本部のスタッフ、協力会社、FCオーナーなどが横でつながり、ともに切磋琢磨しているのだ。
「FCオーナーは、言わば一国一城の主。相談を受ければ本部としての見解は伝えるが、最終的な判断はFCオーナーに任せています」(山本氏)
来店客にLINEで友だちになってもらうのはハードルが高そうなイメージがあるが、鰻の成瀬が用意しているポスターやお店紹介カードはオーソドックスなものだ。カウンター席があるため、一人客が待ち時間に「とりあえず登録しておこう」と友だちになってくれるケースが多いのだという。
鰻の成瀬がLINE公式アカウントで配信するメッセージは、月に1〜2回と控えめだ。「LINEでメッセージを送ると必ず売り上げへの跳ね返りがあるので、頻繁に送りたくなるが、送りすぎるとブロックされてしまうリスクもある。様子を見ながら来店の動機づけに活用しています」(山本氏)
鰻は季節や天候に左右されたり、慶事料理としても利用されたりすることから、ある種、キャンペーンが打ちやすい商品だ。実際、母の日の前にメッセージを配信したら、全店でかなり高水準の売り上げを達成できたという。
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