CriteoのSSPは「コマース」に特化 広告主にとっての価値を解説「コマースメディア」をさらに前へ

Criteoが2022年に買収したIPONWEBのサービスをベースに新たなSSP「コマース・グリッド」を提供。その特徴を詳しく解説する。

» 2024年10月28日 10時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 Criteoは2024年10月17日、SSP「コマース・グリッド」を日本で提供開始した。Criteo独自のコマースデータを活用してパブリッシャーと広告主双方に価値の高いプログラマティック広告を可能にする、これまでにないSSP(サプライサイドプラットフォーム)だ。

「コマースメディア」とは何か? 「リテールメディア」との違いは?

 ここで言うコマースデータとは、単にEコマースや物販における購買履歴だけにとどまらず、購買につながる興味・関心(インテント)を含めたトランザクションデータ全般を指す。

 小売業のWebサイトあるいは実店舗が広告を掲出するためのメディアとして見直され、「リテールメディア」として注目されている。しかし、商品・サービスを販売をしていないパブリッシャーであっても、ユーザーの購買意思決定に無関係とは限らない。そこで、リテールメディアの概念を拡張し、オープンインターネット上のさまざまなパブリッシャー(リテールメディアを営む小売業者も含む)を通じてオーディエンスとつながり、コマースデータを駆使して購買体験を提供できる場となるのが「コマースメディア」だ。

 Criteoは年間1兆ドル規模のコマースデータを武器にコマースメディアプラットフォームとして、デマンドサイド(広告主や広告代理店)のみならずサプライサイド(パブリッシャー、リテールメディア)向けにサービスを拡大する。

Criteoの「コマースメディアプラットフォーム」全体像(画像はCriteoの説明資料より、以下同)

買収したIPONWEBのサービスをCriteoのデータと技術で強化

 「コマース・グリッド」は、2022年に買収したIPONWEB(関連記事:「対Amazon包囲網も? ポストCookieにおけるCriteoの勝算」)が提供していたSSP「The MediaGrid」にCriteoのコマースデータに関わるテクノロジーを融合して生まれた。

 これまで広告主や代理店がCriteoのサービスを利用するということはすなわちCriteoのDSP(コマース・マックス、コマース・グロース)を使うことを意味していた。今回コマース・グリッドをリリースしたことで、広告主はCriteo以外の60以上のDSPを通じても、Criteoのコマースに特化した優良なインベントリー(広告在庫)にアクセスできることになる。一方、パブリッシャーやリテールメディアのオーナーは、コマース・グリッドを活用することで、サードパーティーのデマンドから収益が得られるようになる

「コマース・グリッド」がもたらすエコシステム

コマース・グリッドの3つの機能

 コマース・グリッドは主に3つの機能を担う。

  1. コマースデマンド:SSPとしての主要機能。パブリッシャーは一度インテグレーションをするだけで、Criteoのコマースメディアラットフォームを活用する1万8000以上のブランドや広告代理店からのコマースに特化したデマンド(Criteoによれば平均30〜50%高いCPMを獲得できるという)を、直接獲得できるようになる。
  2. コマースオーディエンス:インベントリーの価値を最大化できるようパッケージ化。特定の商品やサービスに興味を持っているユーザーを束ねた「アフィニティ・オーディエンス」と、特定の商品を購買をしようとしているユーザーをパッケージ化した「インマーケット・オーディエンス」を用意した。また、自社のインベントリ―をそのままサプライとして、またはファースト、サードパーティ、コマースオーディエンスのデータと一緒にディールID内にパッケージ化することができる。広告のフォーマットを絞ったり、地域やデバイス、ビューアビリティーのような指標をベースにパッケージすることも可能だ。広告主は好きなDSPを通じてこれを買い付けることができる。つまりPMP(プライベートマーケットプレイス)に相当する仕組みを実現している。
  3. コマースエクスペリエンス:コマースの成果を促進するため、ショッパブルなリッチメディア広告を、ユーザーが視聴するコンテンツに基づいて、パブリッシャーが提供する掲載枠にSKU単位で掲出。現時点ではウィジェットのような形を想定しているが、日本での提供は未定。

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