AmazonとDisneyが「広告」で連携 2社の豊富なデータを、どう活用するのかMarketing Dive

Amazon DSPとの新しい統合は、プラットフォームがクリーンルーム環境でファーストパーティ(一次取得)データをどのように統合しているかを示している。

» 2025年07月08日 06時00分 公開
[Chris KellyMarketing Dive]

 米Amazonが提供する広告サービス「Amazon Ads」は6月17日、Disney Real-Time Ad Exchange(DRAX)とAmazonのDemand-side Platform(DSP)を統合した。この連携により、広告主は両社のインサイトを活用しつつ、Disneyが保有するプレミアムメディア在庫にアクセスできるようになる。

 「AmazonのコマースインサイトをDisneyのストリーミングエコシステム全体に直接つなぐ経路を構築することで、Amazon DSPを活用する広告主にとって、在庫やオーディエンスシグナルへのアクセス性が高まり、結果として有意義な広告成果を実現できる」と、Disney Advertisingのプログラマティックセールス担当副社長マット・バーンズ氏は述べている。

AmazonとDisneyが「広告」で連携? 何ができる

 この提携ではターゲティングや透明性、効率性の向上を支援するだけでなく、DisneyのオーディエンスデータとAmazon広告の豊富なインサイトを組み合わせたキャンペーンの構築も可能となる。2025年1月にローンチされたDisneyのデータコラボレーションプラットフォーム「Disney Compass」とAPC(Amazon Publisher Cloud)の協業により実現する。

 プレスリリースでは、ペットフードブランドが、Amazon上でペット関連商品に関心を示したオーディエンス層に対し、Disneyのコンテンツを通じて広告を配信する事例が紹介された。このアプローチでは、AWS(Amazon Web Services)のクリーンルームテクノロジーに基づくAPCを通じたパブリッシャー拡張型ディールの導入により、ストリーミングTV広告において高いリーチと低コストを実現できる。

 「DisneyのプレミアムコンテンツとAmazonの消費者理解を組み合わせることで、広告主は適切なオーディエンスにリーチできる。パブリッシャーは在庫価値を最大化し、オーディエンスにより関連性の高い広告が届けられる。このように、広告体験があらゆる立場の人にとってより良いものになる」と、Amazon AdsのAmazon DSP担当副社長ケリー・マクレーン氏は述べている。

マーケ (画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ)

 この取り組みは、今後数カ月内に一部の広告主から段階的に導入が始まり、2025年第3四半期には全てのAmazon DSP広告主に提供される予定である。また、Disneyの他の広告ソリューションを通じたオーディエンスターゲティングやキュレーションパッケージも提供される。

Compassの強化

 本ニュースは「カンヌ・ライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」に合わせて発表されたもので、Disney Compassが2025年1月のCES(Consumer Electronics Show)での発表から5カ月を迎えるタイミングにあたる。

 Disney Compassは、Disneyのファーストパーティデータへの可視性を広告主に提供し、代理店との統合を促進する入り口として機能する。また、サードパーティーのデータや測定パートナーとの相互運用性も提供する。これらはいずれも、データ活用を重視する広告主にとって、ますます需要が高まっている機能である。

 Disney Compassは、これまでに以下の大手広告代理店グループ5社(WPP Media、Publicis、Omnicom Media Group、Interpublic Group、Dentsu)および独立系大手のHorizonとPMGと統合されている。

 また、測定ベンダー5社(Affinity Solutions、EDO、Innovid、Snowflake、VideoAmp)とも常時連携しており、30のクロスセルキャンペーン測定ベンダー(うち19社はダイレクトまたはクリーンルームデータフローでサポート)を通じて、本年度は約1500件のキャンペーン測定が実施されている。

 「優れたマーケティングによって、どこでどのように購入し、それをどのように測定し、どんな成果が得られたのかを把握できるようにする。そうした可視性のあるデータコラボレーションおよび測定プラットフォームを提供することが全てだ」と、Disney Advertisingのデータ&測定科学部門上級副社長ダナ・マグロウ氏はインタビューで語っている。

 Disney Compassは、キャンペーンの計画・実行・測定を1つのプラットフォームで実現したいというマーケターのニーズに応える形で完成された。とりわけ、人工知能(AI)導入の流れの中で、これらの機能はさらに重要性を増している。

 「AIやデータ、オーディエンスの理解を巡る大きな流れがある。それらは全て効率性の向上を目的としている。こうした技術のいずれもが目指しているのは、精度と効率の最適化である」とマグロウ氏は語る。

 「本質的に、Disney Compassはコラボレーションツールであり、あらゆる規模の広告主が当社のインサイトと測定機能にアクセスできるように設計されている」

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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