Googleは2024年5月15日に「AI Overview」を正式なサービスとして公開しました。そのサービスの概要や旧「SGE(Search Generative Experience)」との機能の違い、今後重要視されるSEO対策の基本について、わかりやすく解説します。
Googleは2024年5月15日、これまで試験運用してきた「SGE(Search Generative Experience)」を「Overview」に名称変更し、正式なサービスとして公開しました。今回は、AI Overviewに興味を持ったあなたに、「AI OverviewはSGEとどのような部分が変わったのか」「どうやってAI Overviewを使うのか」「AI Overviewの登場によってどのようなSEO対策が必要になってくるのか」をわかりやすく解説します。
2023年5月にGoogleは「SGE(Search Generative Experience)」を発表し、同年8月には日本語版もリリースして試験運用を続けてきました。2024年5月15日には名称を「AI Overview」に代えて、米国で正式なサービスとして公開しています。2024年6月現在ではまだ日本語版は開始しておらず、今後の発表を待つことになります。SGEは米国版に約3か月遅れで対応したので、AI Overview日本語版も数か月後には開始されるのではないでしょうか。
AI Overview機能の概要はSGEとほぼ同じですが、AI技術の向上や新機能の追加など、幾つかの変更点もあります。SGEから変わった点は、主に5つあります。
AI Overviewでは以下の3つが設定できます。自身のスタイルに合わせて設定してみましょう。
AI Overviewは以前のSGEに比べて、ユーザーからの複雑・曖昧な質問にも対応できるようになりました。SGEでは何度か質問を繰り返さなければいけなかったものが、長文の質問でも回答がまとまるようになっています。例えば、専門的な技術に関する質問や複雑な比較分析など、従来の検索エンジンでは対応が難しかったクエリにもAIが迅速に回答できるようになっています。
AI Overviewでは、情報の分析・整理能力が飛躍的に向上しています。大量の情報を短時間で解析するのは通常の検索では難しいですが、AI Overviewでは重要なポイントを整理して提示することが可能になりました。そのため、通常の検索よりも効率的に問題解決や意思決定を行うことができます。研究レポートや市場の分析など、多岐にわたるデータソースを統合して分析する際に重宝します。
テキストだけでなく、動画や音声の入力にも対応するようになりました。動画内の特定の場面を検索したり、音声指示で複雑な質問を行ったりすることが可能です。ユーザーはさまざまな形式の情報を検索に利用できるため、利便性が大幅に向上しています。
また、AI Overviewで表示されたリンクからの訪問情報が、Googleサーチコンソールのレポートに含まれるようになりました。SGEではたとえ概要に表示され、そこから訪問されたとしても、トラフィックには含まれませんでした。訪問情報がレポートに含まれることによってPV数などが正確に出るようになったので、分析の精度が上がります。
しかし、AI Overviewから訪問したという情報は得られない点は要注意です。この点は重要な指標になり得るので将来的には独立して評価できるようになる可能性もありますが、2024年6月現在では未対応だと認識しておきましょう。
AI OverviewまたはSGEは、Googleアカウントを持っていれば設定可能です。設定方法は簡単。まず、Google Chromeのトップページ右上にあるフラスコのマークから「Search Labs」にアクセスして「AIを使った機能」の項目をオンにします。
実際に設定をオンにして「SEO」と検索してみると、その概要がトップに表示されるようになっているのが分かります。
スマートフォンの場合、OSがAndroidであり、GoogleアプリにGoogleアカウントを保有していることが条件になります。スマートフォンで使用する場合はGoogleアプリの左上にあるフラスコのマークから、Search Labsにアクセスします。PC版同様に「AIを使った機能」の項目をオンにして設定しましょう。
これだけの機能を持ったサービスが出てくると、気になるのはSEO対策です。どのような影響があるのでしょうか。
結論として、SEO対策が不要になることはありません。以下では具体的にどのような対策をすべきか、紹介します。
AI Overviewの登場によって一般論のような回答であればすぐに入手できるようになったからこそ、専門家でなければまとめられないような情報を提供することが大切です。具体的な指標は「EEAT」の4項目で、以下の内容に沿ってコンテンツを作成していくことが重要になります。
これらの要素を組み合わせることで、検索エンジンに高く評価されるコンテンツを提供することができます。
AI OverviewまたはSGEで表示される情報は膨大な情報を持つデータベースからまとめたものであり、言わば二次情報にすぎません。そのため、確実な根拠が必要な場合はAI Overviewだけでは不十分であり、そのため、ユーザーは最終的にWebサイトを訪問する必要があります。これを狙うためには、Webサイトには信頼できる一次情報を多く盛り込む意識を持っていた方がいいでしょう。
一次情報とは、オリジナルのデータや調査結果、インタビューなど、他のサイトに依存しない独自の情報です。このような内容を扱いながら専門性を高め、訪問する価値のあるWebサイトにしていくことが大切です。
AI Overviewは主にテキストだけで情報を表示するため、人によっては理解しにくく、画像や動画コンテンツが求められる可能性もあります。そうなると、画像や動画検索に対応するためのSEO対策も欠かせません。画像で説明した方が理解しやすい部分は積極的に画像に置き換え、さらに多くの情報量を含められる動画の活用も検討しましょう。そうした工夫によってもちろんコンテンツの独自性も高まるので、ユーザーにとっての有益性も上がります。
AI OverviewのようにAI技術を搭載したサービスが数多く登場してくると、ユーザーの情報収集の方法も変わってきます。
そのため、SEOからの集客だけに頼らず、他のメディアを通して顧客にアプローチすることも大切です。具体的にはSNSやメールマーケティング、プッシュ通知など、さまざまな方法があります。露出を増やすため、多くのチャネルを取り入れていきましょう。
もちろん、これらのメディアはWebサイトとひも付けることもできるので、ビジネスの基盤としてWebサイトを運営していくことは依然として欠かせません。
SGEの約1年間の試験運用を経て正式リリースされた「AI Overview」。使い方そのものに大きな変更はないものの、内部の機能が大きく向上したと認識しておきましょう。繰り返しになりますが、SEO対策の必要性は変わりません。引き続き質の高いコンテンツ作成に努めましょう。
谷川祐一
たにがわ・ゆういち GMOソリューションパートナー メディア運営チーム シニアマネージャー。SEOに特化したサイト制作に従事。さまざまな経験を経て編集責任者(シニアマネージャー)としてSEO初心者向けオウンドメディア「SEOタイムズ」とSNS運用代行サービスの立ち上げを行う。ランチェスター戦略をベースとしたSEO戦略の策定を得意としている。
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