モバイルゲームの最新トレンド 「ハイブリッドカジュアル」はなぜ好調なのか?今日のリサーチ

AdjustとAppLovinは共同で、モバイルビジネスとしてのモバイルゲームの最新トレンドやデータを紹介する「モバイルゲームレポート2024」を発表しました。

» 2024年05月20日 20時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 モバイルアプリの計測・分析ツールを提供するAdjustは、同社の親会社でアプリ向け広告プラットフォームを提供するAppLovinと共同で「モバイルゲームレポート2024」を発表しました。このレポートは、Adjustが計測する全アプリのデータを集計し、それに基づいて最新のトレンドに焦点を当てたもので、広告主向けのインサイトを提供することを目的としています。

ゲームアプリのインストール数とセッション数に復調の兆し

 ゲームアプリは景気低迷の影響で2022年から下降トレンドが続き、2023年のインストール数は2%、セッション数は7%減少しました。しかし、2023年第4四半期に注目すると、インストール数が前年同期比7%増と回復の兆しを見せており、セッション数は2024年1月に前年同期比3%増加しました。この傾向は2024年も続くと予測されます。

 地域別では、2023年に前年比で増加したのはLATAM(ラテンアメリカ)のみ(インストール数7%増、セッション数1%増)でしたが、第4四半期はAPAC(アジア太平洋)でインストール数が前年比3%増、EMEA(欧州、中東およびアフリカ)で12%増、北米で6%増となりました。LATAMの第4四半期は前年同期比19%増を記録しています。

世界のゲームアプリのインストール数・セッション数の推移<2022年1月〜2023年12月>(出典:Adjust、AppLovin「モバイルゲームレポート2024」、以下同)
ゲームアプリのインストール数・セッション数の前年比成長率<地域別/2022年〜2023年>

 国別の成長率では、ゲームアプリのインストール数が前年比で最も増加したのはシンガポールで、フィリピン、メキシコが続きました。セッション数は韓国(2%増)以外の市場では軒並み落ち込み、シンガポールでは37%減となりました。日本ではインストール数とセッション数のいずれも減っています。

国別ゲームアプリのインストール数・セッション数の前年比成長率<国別/2022年〜2023年>

ビジネス観点で見た人気のジャンル

 サブカテゴリー別のインストール数最多は「アクション」(18%)でした。以下、「ハイパーカジュアル」「パズル」(いずれも14%)、「カジュアル」(9%)、「シミュレーション」(7%)が続きました。セッション数では「アクション」(27%)、「パズル」「スポーツ」(いずれも12%)、「ボード」(7%)、「カジュアル」(6%)、「ハイパーカジュアル」「RPG」(5%)の順でした。「ハイパーカジュアル」のようにインストール数とセッション数のシェアにギャップがあることは、このカテゴリーにおいてインストール後のユーザーをできるだけ早く収益化すること、あるいは次のタイトルへとクロスプロモーションすることの必要性を示唆しています。

世界のゲームアプリのサブカテゴリー別インストール数とセッション数<2023年>

 広告1000回表示当たりのインストール数であるIPM(Installs Per Mille)は、ジャンル別では「ハイパーカジュアル」が13.88でトップ。「ハイブリッドカジュアル」が9.03で続きました。アドベンチャーやRPGは低い数値になっています。

世界のゲームアプリのIPM<2023年>

月間アクティブユーザー当たりの収益が最も高いのは日本

 ARPMAU IA(月間アクティブユーザー数当たりの平均アプリ内収益)をサブカテゴリー別で比較すると、RPGが5.25ドルでトップ。アドベンチャーが3.87ドルで続き、アプリ内広告収益をメインとする他のサブカテゴリーとの差が大きくなりました。この差が生まれるのは、サブカテゴリーごとの広告収益割合の違いによるものと考えられます。

 より幅広いユーザー層が簡単にプレイできる「ハイパーカジュアル」はインストールされやすく、広告での収益化に適しています。「ハイブリッドカジュアル」はこれに加えてアプリ内課金要素を取り入れたものです。「ハイブリッドカジュアル」は「ハイパーカジュアル」と比較して、ARPMAU IAが800%、クリック率が30%高くなっています。なお、地域・国別ARPMAU IAでは日本が1.15ドルで最も高い結果となりました。

世界のゲームアプリのARPMAU IA<2023年>
地域・国別ゲームアプリARPMAU IA<2023年>

ゲームアプリにおけるアプリ内収益は増加傾向

 2022年の1月から2024年の1月までのグローバルでのゲームアプリ内収益(サブスクリプションやアプリ内課金、広告収益全て含む)を見ると、2023年は全体で前年比6%上昇。12月は年平均よりプラス17%、前年同期比で21%伸びています。先述した「ハイパーカジュアル」が「ハイブリッドカジュアル」に進化するなどの収益化戦略の変化の流れもあって、アプリ内収益は2024年も引き続き伸びていく見込みです。

世界のゲームアプリのアプリ内収益<2022年1月〜2024年1月>

iOS版アプリマーケティングの成功を左右するATTの許諾状況

 モバイルゲームのATT(App Tracking Transparency)オプトイン率(2024年第1四半期と2023年第1四半期の比較)は、他のカテゴリーと比較して平均よりもはるかに高く、どの国・地域でも引き続き上昇傾向が見られます。世界平均は36%から39%に増加しました。

 ATTオプトイン率はiOSにおいてアプリを新規にインストールするときにトラッキングを許諾した比率であり、リターゲティング広告やユーザー分析の成功に重要です。オプトイン率が最も高いのはインドネシア、UAE、ブラジルで、いずれも49%を記録しています。日本のATTオプトイン率は30%とやや低めで、最も低いのはシンガポールの27%でした。

ゲームアプリのATTオプトイン率<国・地域別/2024年第1四半期と2023年第1四半期の比較>

 サブカテゴリー別でATTオプトイン率が最も高いのは「ハイパーカジュアル」で、2023年の43.4%から47.5%に上昇しました。オプトイン率が低いのは「ファミリー」(13.6%)と「トリビア」(12.9%)でした。これらののオプトイン率の低さは、子ども向け広告に関する厳しいルールや規制が原因だと考えられます。

ゲームアプリのATTオプトイン率<サブカテゴリー別/2024年第1四半期と2023年第1四半期の比較>

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