米Pepsiが、この夏復活したライバル企業の象徴的なキャンペーン「Share a Coke」(シェア・ア・コーク)を風刺するかたちで、自社の新たなマーケティング施策を展開している。
米Pepsiが、この夏復活したライバル企業の象徴的なキャンペーン「Share a Coke」(シェア・ア・コーク)を風刺するかたちで、自社の新たなマーケティング施策を展開している。ペプシはこの試みを通じて、夏のバーベキューシーズンに適した“フードペアリング(食事との相性)”というブランドポジショニングを前面に打ち出している。
「シェア・ア・コーク」は、ボトルに多数の名前を印刷し、それを友人や家族と交換するという仕組みで、パーソナライズド・マーケティングの成功事例として広く認知されている。このキャンペーンは消費者、特に若者が甘い飲料から離れつつあった時期において、売り上げ増加に寄与した。
ペプシは、コカ・コーラが異なる名前のボトルを販売するのとは異なり、「Tom(トム)」や「Paige(ペイジ)」といった名前の代わりに「Burgers(バーガー)」や「Wings(チキンウイング)」など、夏の定番料理にちなんだ言葉を表示した期間限定パッケージを展開する。これにより、ペプシは従来の「名前を共有する」という発想を、食事との結び付きに置き換えて提示している。
この施策は、「Food Deserves Pepsi(食事にはペプシがふさわしい)」というメッセージを強化する目的で、主要都市における屋外広告やラジオ広告が展開されている。ペプシは、低下傾向にある炭酸飲料の米国市場シェアを奪還すべく、挑発的な広告路線を加速させている。
このような展開は、コカ・コーラがZ世代とのエンゲージメント強化を狙って「シェア・ア・コーク」を復活させたわずか数カ月後に行われた。ペプシは、ソフトドリンクと食事との相性の良さを長年訴えてきたブランドプラットフォームをさらに押し進めるかたちで、このコンセプトを自社流にアレンジしている。
ペプシは2025年初め、米国の炭酸飲料市場において、同じくコカ・コーラが展開するスプライトに抜かれ、第4位へと後退した。2024年には長年保持してきた第2位の座もドクターペッパーに奪われている(情報元:Beverage Digest)。
今回の新パッケージでは、コカ・コーラの手法を模倣しつつも、個人名の代わりにバーベキューや野球観戦に適した季節の定番料理を記載している。これらのカスタムボトルは、SNSで「#ShareaPepsi」のハッシュタグをつけて投稿した消費者を対象にプレゼントされるほか、Pepsi Dropsプラットフォームや、6月28日から29日にロサンゼルスで開催されるEeeeatscon(イーツコン)の会場でも配布される予定である。
また、ニューヨークやロサンゼルス、ヒューストン、ダラスといった主要都市では、「シェア・ア・コーク」のデザインを模倣した屋外広告のほかラジオ広告も展開し、消費者の関心を自社製品へと誘導している。
今回の「シェア・ア・コーク」のパロディー企画は、ペプシが先月公開した「Crashers(クラッシャーズ)」シリーズ広告に続くものである。このシリーズでは、ペプシのエージェントたちが、他人のバーベキューに突撃してコーラ製品をペプシと入れ替える様子を、隠しカメラ風に描いている。これまでにも、配達員を追跡して製品を入れ替えたり、コカ・コーラ製品しか提供していないレストランに突入するなどの、挑発的な演出を取り入れてきた。
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