ステマ規制の実施によって具体的に何が起こっているのか、ASP8社の動向を踏まえて、知っておくべきポイントを解説します。
2023年10月1日に景品表示法が改正され、ステマ規制が始まりました。アフィリエイトプログラムに参加している人(アフィリエイター)は、各社ASPの利用規約や対応の通知などに目を通しているでしょうか。
今回施行されたステマ規制に違反すると、最悪の場合、罰金や契約解除などの恐れがあります。アフィリエイトで収益を得る仕組みを構築するのは簡単ではないので、ステマ規制の対応を知らずに打ち切りになることは避けたいものです。
そこで本記事では、ステマ規制の実施によって具体的に何が起こっているのか、ASP8社の動向を踏まえて、知っておくべきポイントを解説します。
まずはステマ規制がアフィリエイトにどのような影響を与えるのか、解説していきます。具体的には以下のような懸念があります。
アフィリエイターとして活動していくにはASPと契約を結ぶ必要があります。これまで広告主は、アフィリエイトで売上に繋がれば報酬を支払うだけの、リスクが少ない状態でした。しかし今後はステマ規制に違反してしまうと広告主側に罰則が発生するので、従来通り気軽に契約できなくなる可能性があります。あくまでも可能性の話ですが、今回の規制施行によって違反件数が増えると影響が及ぶかもしれません。
契約数が減少するリスクもありますが、既存の契約者には活動の制限や表記方法の指導などが細かく入ることが考えられます。実際に各ASPでは利用規約などに変更がみられ、知らずに活動していては契約違反になる可能性も高いです。その際にステマ規制で禁止されている表示や宣伝をしないよう、これまで以上にマニュアルを順守してください。
広告は本当に商品サービスを欲しがっているユーザーに届けるのであれば、ストレスを与えるものではありません。これまでは広告やPRと表記する義務はなかったので、SNSやブログでも比較的アクセス数は期待できました。しかし、今後は「広告」であることを明記しなければならず、アクセス数が低下する恐れがあります。つまり商品を購入してくれる機会が減少することが懸念されます。読者との信頼関係がつかめていない方は、集客が難しくなると予想されます。
ここでは代表的なASPを8社取り上げ、ステマ規制によってどのような規約変更があったかを簡潔にまとめていきます。なお、変更していないASPもありますが、一方で利用規約の変更や対応を見つけられていない可能性もあります。登録や契約をする前にいま一度各自で確認してみてください。
A8.netでは、アフィリエイトリンクを設置している全ての投稿に「PR」などと記載を設けることを明言しています。対応内容などを要約すると、以下の通りです。
具体的な表示方法も記載があるので、契約しているアフィリエイターも対応しやすいでしょう。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
もしもアフィリエイトは、ステマ規制施行後も規約に変化はありませんでした(2023年10月現在)。従来から利用規約の第6条「コンテンツの表示」に「消費者の判断に錯誤を与えるおそれのある表示をしないこと」という記載があるため、既に周知済みという判断でしょう。加えて、作成したコンテンツが相応しくないと判断した場合には、運営側から表示の変更を求められるという旨も記載してあります。ステマ規制の対応について情報を公にすることはありませんでしたが、契約者は従来の規約を厳守するようにしましょう。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
Amazonアソシエイトも、同様に、ステマ規制の施行を受けて新たに契約を更新することはありませんでした(2023年10月現在)。この理由も同様で、既に契約の中にステルスマーケティングを禁止する旨の記載があるためです。利用規約の第13条には「規約の改正があった場合は、登録しているメールアドレス宛に通知する」とされています。2023年10月を過ぎた時点で特にメールが届いていなければ、規約に変更はないとみていいでしょう。ただし、表示が分かりやすいかなどは、これまで以上に注意するようにしてください。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
バリューコマースも新たに通知をすることはありませんでした。そこで、利用規約を見てみると、以下のような記載があります。
これらの規約はあくまでも抜粋ですが、ステマ規制の違反時の対応と同等なものといえます。現在契約している人は、ステマ規制と利用規約の内容をあらためて照らし合わせてみてください。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
afbでは、PDFでステマ規制に伴う対応についてまとめてありました。内容に特別なものはなく、一般的なステマ規制の対応どおり「広告」や「PR」と分かりやすく明記するようにというものです。当然、違反となった場合には、未払い成果報酬の支払い停止、成果報酬の返還請求、提携解除などが発生します。全ての投稿にステマ規制対策が取られているか、いま一度確認しましょう。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
アクセストレードではステマ規制の施行に伴い、広告表記についてお知らせが出ています。一般的なステマ規制の紹介と対策に加え、Instagramであれば「タイアップ投稿ラベル」を、YouTubeでは「プロモーションが含まれています」などの設定をするように指示されています。独自の要素はありませんが、契約している方は一度目を通しておきましょう。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
楽天LINKSHAREでは、望ましい表記・望ましくない表記の例を取り上げながら、ステマ規制の対策について詳しく紹介しています。違反をした場合は提携解除の可能性があるという内容に変わりはありません。ステマ規制の対策方法として分かりやすくまとめられているので、アフィリエイトを行っている方は参考にしてみてください。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
楽天アフィリエイトでは、ステルスマーケティングの概要や規制の対象、具体的な対策方法についてまとめた記事を公開しています。それぞれの内容が詳細までまとめてあるので、ステマ規制について基本から知りたい方には分かりやすいものです。独自の要素は特にありませんが、基本情報のインプットとして一度確認しておきましょう。詳しくは公式サイト(外部リンク)をご覧ください。
具体的な対策としては、以下の3点が挙げられます。
ブログでの表記は、単に広告であると記せばいいわけではありません。分かりやすい大きさと場所、見やすい色を意識して設置するようにしてください。ユーザーが誤認しないように設置するのが大切です。
ステマ規制によって各ASPでも対応が行われていますが、各社で大きく対策方法が異なることはありませんでした。
ブログや投稿に「広告」などとわかりやすく表記すること、違反した場合は提携解除の可能性があるというのは、各社変わらぬ対応と言えます。
利用規約の改変が行われた企業と変更のない企業がありますか、ステマ規制の施行を機にいま一度確認しておくことをお薦めします。
谷川祐一
たにがわ・ゆういち GMOソリューションパートナー メディア運営チーム リーダー。SEOに特化したサイト制作に従事。さまざまな経験を経て編集責任者(リーダー)としてSEO初心者向けオウンドメディア「SEOタイムズ」とSNS運用代行サービスの立ち上げをおこなう。ランチェスター戦略をベースとしたSEO戦略の策定を得意としている。
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