【用語解説】THE MODELITmedia マーケティング用語集

B2Bの営業活動における、マーケティング、営業、カスタマーサクセスの共業プロセスモデル。

» 2023年09月30日 22時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 B2Bの営業活動における、マーケティング、営業、カスタマーサクセスの共業プロセスモデル。福田康隆氏が提唱して2005年以来セールスフォース・ジャパン(当時はセールスフォース・ドットコム)社内で活用され、他社でも営業オペレーション改革の参考にされるようになっている。 2019年に同氏が書籍『THE MODEL』(翔泳社)を上梓したことにより、SaaS企業を中心に認知が拡大した。

4つのプロセス

 THE MODELにおけるプロセスは以下の4つのプロセスに分けられる。

  • マーケティング:認知拡大からリード獲得、リード育成、有望リードの創出に至るまで、各ステージを次のステージに進めるために、オンライン/オフラインのさまざまなチャネルを通じて顧客とコミュニケーションを取る。商談に至らなかったリードや失注したリードの再育成も重要。
  • インサイドセールス:「インサイド」とは、社内にいることを意味する。マーケティングが創出した有望リードに対して直接コンタクトを取り、BANT(予算、決裁者、ニーズ、タイミング)などについてヒアリングし、確度を見極めた上でアポイントを取り、フィールドセールスに渡す。
  • フィールドセールス:商談管理と受注を担う。インサイドセールスから渡された案件の全てがすぐ商談になるわけではないので、商談のフェーズを細分化し、進捗を管理する。フェーズの設計は商材によって異なるので、自社に合った形を独自に設計する必要がある。
  • カスタマーサクセス:受注後、顧客の活用支援と契約継続を担う。活用促進のために顧客の成熟度を幾つかのステージに分け、ステージごとに必要な支援を提供する。

 

営業活動をプロセス化するメリット

 B2Bの営業活動をプロセス化するメリットは、それぞれが担当業務に集中することで専門知識やスキルが向上し、リードの獲得と管理が効率化すること。インサイドセールスがリモートで顧客とのコミュニケーションを担当することで地理的な制約を克服できたり、専任のカスタマーサクセスが顧客と伴走することで顧客満足度が向上し、継続率が高まることも期待できる。また、各プロセスのKPIを設定してパフォーマンスを管理することで戦略の最適化や改善が可能になる。ただし、各プロセスにおいて担当者が自らのKPIだけを追い求めるようになると部門間の連携が手薄になるリスクもあるので、共通目標を設定して各プロセスを単なる分業から「共業」にシフトさせる必要がある。

各プロセスの評価指標

 各プロセスは主に以下のような指標で評価される。

  • マーケティング:認知拡大であればWeb広告経由のサイト訪問数、イベント参加者数など。リード獲得であれば展示会やセミナーで獲得したコンタクト数。リード育成では情報提供メールの開封数やリンククリック数が指標となる。、
  • インサイドセールス:案件化率と商談化率
  • フィールドセールス:受注数、受注率
  • カスタマーサクセス:継続数

 

必要なツール

 目指すべきゴールから逆算して目標を立て、各プロセスにおける現在の進捗状況を正しく把握するためにITツールが役立つ。有効リード創出にはマーケティングオートメーション(MA)のリードスコアリング機能が有効であり、フィールドセールスの活動状況を可視化するためにはSFA/CRM(営業支援システム)が必須だ。顧客の利用状況をモニタリングし、解約の予兆を察知したり、対策を自動で実施したりする上ではカスタマーサクセスツール導入も検討したい。

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