コロナ禍において「巣ごもり消費」が拡大し追い風が吹いているといわれるゲーム業界だが、ことプロモーション活動となると課題もある。「PUBG MOBILE」「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」のマーケティング担当者が実情を語った。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、多くの企業がマーケティング戦略の方針転換を余儀なくされている。オフライン施策を実行できなくなった分をどこに注力すればいいのか、正解がない中で模索せざるを得ない日々が続いているのだ。
この種の悩みは、外出自粛に伴う「巣ごもり消費」の拡大で好調といわれるゲーム業界のマーケティング担当者にも付きまとう。2020年6月23日にTwitter Japanは「COVID-19影響下の生活様式が変えた、新しい消費スタイルとTwitter活用の関係 〜ゲーム業界の最新事例とデータでコロナ前後の関心の変化、消費トレンドを読み解く〜」をテーマに記者説明会を開催。シューティングゲーム「PUBG MOBILE」を運営するPUBG JAPANの國方大輔氏(Marketing Team Lead)とリズムゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」を運営するCraft Eggの齋藤隼一氏(マーケティング室 室長)が登壇した。人気ゲームアプリを有する2社のマーケティング担当者は、どのような戦略に基づいてコロナ禍に対処しているのか。成果を挙げた施策事例を交えつつ紹介しよう。
ゲームについてはこれまでは一般に「健康に良くない」「1人でこもりきりになる」などネガティブに語られることがあった。しかし、コロナ禍を機にゲームの印象は徐々にポジティブなものにシフトしている。ツイートのデータを観察しても、ゲームは健康を害するものではなく、寂しさを紛らわす、もしくは大事なイベントの代替と捉える意識の変化が表れてきているというのだ。
日本でも広く拡散したハッシュタグ「#stayhome」は、ゲームとセットで語られることも多かった。世界各国のゲーム業界が共同で実施した「#PlayApartTogether」キャンペーンには、WHO(世界保健機関)も賛同している。自宅で過ごす時間を充実させる手段としてゲームが有用であり、結果的に感染防止につながるという捉え方が強まっている。
追い風が吹いているように思えるゲーム業界だが、そこで働くマーケターにとってコロナは何をもたらしたのだろうか。この問いに関して國方氏と齋藤氏のいずれも「KPIも開発環境も変えていないがプロモーション方法は大きく方針転換した」と」と回答した。
ゲームといえばオンラインでのプロモーションが中心だとイメージするかもしれないが、近年はオフラインイベントを実施する企業が増加している。今回登壇した2社も、感染拡大機に大規模なオフラインイベントの実施を予定していた。
もともとPC向けのタイトルからスタートしたPUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)シリーズはeスポーツとしても人気を獲得しており、日本における公式大会「PUBG JAPAN SERIES(PJS)」をオフラインイベントとして開催することを考えていたが、コロナで断念せざるを得ない状態になった。5月に迎える2周年を前に、プロモーションの手段を奪われてしまった格好だ。
「ガルパ」の略称で知られる「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」は「バンドリ!(BanG Dream!)」シリーズのモバイル版という位置付けで、アニメ、ゲーム、リアルライブなどさまざまなメディアを融合して1つの世界観を形成するというコンセプトを持つ。そのため、もともとオフラインも主戦場の1つだった。2020年5月のゴールデンウイークにはメットライフドームでのライブイベント開催を予定していたが、こちらも中止になった。
オフラインでの施策を断たれた両社が着目したのがTwitterだ。
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