データが好き過ぎてDomoに転職した元Targetベン・シャイン氏のインタビュー。
アマゾンエフェクト(Amazon.comが次々に仕掛ける破壊的イノベーション)を前に、伝統的な小売業は市場で進行する変化に苦しんでいる。
現在、BIベンダーのDomoでデータキュリオシティ・イノベーションセンター担当バイスプレジデントを務めるベン・シャイン氏の前職は、米国でWalmartに次ぐ小売業大手として知られるTargetだ。15年以上にわたりTargetでBI、アナリティクス、財務部門を率いてきた同氏は、自らの経験を新天地のDomoでどのように生かそうとしているのか。企業のデータ活用における課題と「好奇心」が必要になる理由についてシャイン氏に聞いた。
――Amazon.comのようなディスラプターとの戦いに、あらゆる産業が無関係でいられなくなりつつあります。企業が厳しい市場競争に勝ち抜く上でデータ活用の重要性をどう考えていますか。これまでの経験からお話を聞かせてください。
シャイン 企業が生き残るためには既存の資産を活用して新しい資産を作り出す必要があります。特に重要なのがデータインフラの柔軟性です。例えばTargetではホリデーシーズンの取引量の75%がオンラインからのものになりますが、そうした中で大量のオーダーを処理するには店舗自体を物流センターにするという考え方を採用しています。
個人的な例で説明しましょう。私の妻がディナーパーティーを開こうとして、テーブルに敷くランチョンマットを12枚購入しようとしました。私はGoogleで検索してどれがいいかを選んでもらった後、Targetのアプリでどの店舗にどのぐらい在庫があるかを確認し、アプリから発注しました。購入はオンラインでしたが、車を運転して在庫のある店舗ですぐに商品を受け取ることができたのです。この取引を正確に処理できるのは、裏側にさまざまなデータを連携させる柔軟なデータインフラがあるからです。
――データが連携しているからこそ、それぞれのチャネルの強みを生かしてお客さまのニーズを満たすサービスが実現できると。そうなると店舗の役割も変わってきますね
シャイン 10〜15年前に店舗でチームがやっていたことに比べると、やるべきことは大きく変化しました。以前はお客さまとして来るのは誰かだけを重視していました。来店したお客さまにそれぞれ最適なサービスを提供するという点では同じですが、デジタルチャネルが加わったことで今はそれがより複雑になったのです。オンラインで受注した商品をそろえたり、場合によっては商品をお客さまの車まで運ぶ手伝いをしたりと、今までになかったサービスが必要になります。米国では、従来、店頭のスタッフよりも倉庫で作業するスタッフの賃金が高かったのですが、店頭のスタッフがやることが増えた結果、報酬体系を見直す動きも出てきています。テクノロジーへの投資だけではなく、働いている人への投資も必要になってきているのです。
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