「Domo Japan Launch」の基調講演およびDomoでCMOを務めるシェーン・アッチソン氏のインタビューから、レポーティングツールを超えた経営の武器としてのBIの意義を考える。
2017年10月12日、Domoは「Domo Japan Launch」を開催した。
Domoは、Omniture創業者のジャシュ・ジェイムズ氏が同社を2009 年に18億ドルでAdobe Systemsへ売却した後、2010年に新たに設立したBIベンダーである。
現在のBI市場には、従来型の製品とセルフサービス型の製品の2通りがある。前者は、IT部門がビジネス部門の要望を聞き、必要なデータを集めて画面設計を行い、ビジネス部門に提供するものだ。
クラウドサービスとして提供されるDomoは後者。役職を問わずあらゆるビジネスユーザーが、IT部門の力を借りることなく自分で見たい画面を作り、必要なデータを見ることができる。
社名および製品名であるDomoは、日本で暮らした経験のあるジェイムズ氏が日本語の「どうも」から名付けたものだが、2011年に東京オフィスを開設して以来、日本国内での導入企業も順調に増えている。主な顧客には全日本空輸(ANA)や、日本航空(JAL)ローソン、パナソニック、花王、KDDI、楽天といった名だたる企業が名を連ねる。
データドリブン経営を支援するためのビジネス最適化プラットフォームとして定評があるDomoだが、その魅力を表すキーワードが「透明性(Transparency)」だ。
意思決定の透明性は「ガラス張りの経営」と言い換えることもできよう。基調講演でジェイムズ氏と対談したANAシステムズ 代表取締役会長 幸重孝典氏は、「データを抽出してレポートすることは、組織を守ることにつながる。全部のデータをガラス張りにしてしまうと、上司から怒られるのではないかと不安に思うこともあるでしょう。しかし、実は状況がガラス張りになることで次に何をしたらいいかがすぐに分かり、視野が広がる」と語った。
デジタル変革は大きい組織ほど難しい取り組みになるが、感覚でなく数字で判断する文化を組織に根付かせることが、成功を左右する鍵になるのだ。
DomoのようなセルフサービスBIツールを使って、ビジネスユーザーが権限を持つデータに自由にアクセスできるようになると何が変わるのか。WPP系列のデジタルエージェンシーPOSSIBLEのグローバルCEOを経てDomo CMOに就任したばかりのシェーン・アッチソン氏に単独インタビューする機会を得たので、BI市場の現状を踏まえたDomoの強みやデータドリブンな意思決定の神髄について、話を聞いてみた。アッチソン氏は世界中のマーケターを対象にした調査から、ビジネスで成功するための10の原則を抽出し、著書『Does It Work?: 10 Principles for Delivering True Business Value in Digital Marketing』にまとめている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.