倉持:では、最後に「エッグタルト」はどの点だと思いますか?
土肥:ヒントをください。
倉持:この商品は昔から、地味に店頭に並んでいますね。
土肥:うーん。地味に……ということなので、中央で点線が交わっているところの近くにある点じゃないですか。
倉持:残念! エッグタルトは右下の一番右の点に位置しています。よーく、見てください。リピート率が一番高いのはエッグタルトなんですよ。ただトライアル率は低いので、あまり売れてはいません。POSデータであれば、売れている/売れていないでランキングされてしまう。そのデータだけで判断してしまうと、店頭から消えてしまうんですよ。
エッグタルトのリピート率は最も売れているシュークリームを上回っている。ということはこの商品を目当てに、お客さまが来店されているということですね。
もし店頭になければ「ないのか……」と思って帰ってしまう。これが1回であれば許してもらえるかもしれませんが、2〜3回同じことが続けば「もうローソンに行くのは止めよう」となる。お客さまの不満を生んでしまうので、こういう商品は大切にしなければいけないのです。
土肥:リピート率は高いかもしれませんが、あまり売れていないわけですよね。私が店長であれば「売れない商品は、店頭に並べるな!」と指示すると思うんですよ。熱烈かもしれませんが、ファンが少ないモノよりも、ファンが多いモノをじゃんじゃん売ろうとなると思います。明日のエッグタルトよりも、今日のシュークリームというわけですよ。
倉持:お客さまからすれば、リピート率が高いということは「欲しい商品」。売り場サイドからすれば、あまり売れない商品なので「置きたくない商品」。つまり、お客さま視点で考えますか? 発注者視点で考えますか? ということなんです。ローソンでは「お客さま視点で考えていきましょう」という意識改革を推進しています。
土肥:ということはお店に行って、エッグタルトが置いていなければ「このお店……データを活用してないな」と見ることができますね(笑)。
倉持:置いてあれば「隠れた定番商品があるな」と思っていただければ。
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