次世代の広告表現を可能にする拡張現実(Augmented Reality=AR)。その技術的な背景や最新の活用事例を解説する。
今回から6回にわたり、拡張現実(Augmented Reality=AR、正しくは拡張現実感)を取り巻く現状、そして少し先の未来についてお伝えしたい。
第1回では、拡張現実の技術が今までどのような場面で、どのように使われてきたのか、過去から現在までの経緯をお伝えする。できるだけ分かりやすい言葉で、かつ、日本を中心とした内容とし、私の経験に基づいて説明させていただきたいと思う。とはいえ、拡張現実とは何か? どのような技術なのか? など拡張現実の基本的なことについては、すでにご存知の方が多いと思うので、あまり触れない予定である。ご了承いただきたい。
今回は第1回ということもあり、簡単に自己紹介をさせていただこう。私自身はIT業界で約26年間仕事をしてきているが、その半分は事務処理系や医療関連のシステム開発、そしてWeb関連の開発が中心であった。そして、数年前から拡張現実の世界に入り込んだ。
何らかの方法で拡張現実の利用を世に広める役割を担いたいと考え、ここ数年、セミナーで講演をしたり、寝る時間を惜しんでブログを書いたりしている。企画提案、システム設計、プログラム開発の経験があるため、常に技術を理解した上で、お客様にご提案することを心掛けている。
私が個人的に運営しているブログ「development memo for ourselves|Augmented Reality World|拡張現実」は、そもそもエンジニアとしての備忘録として使っていたのだが、2009年2月を境にして、徐々に拡張現実関連のブログへと変化していった。2012年7月22日現在で、約5000の記事、50カ国からのアクセス、約30万の総アクセス数を達成している。さらに、情報をFacebook、Twitter、LinkedIn、Paper.liなどのWeb上のサービスに対して広範囲に拡散する仕組みを用意しているため、世界におけるAR情報の広報的な役割も担っていると自負している。国内外で新しい拡張現実のサービスがリリースされると、できる限りの紹介を行っている。時にはプレスリリースの掲載依頼をいただくこともあるので、嬉しい限りである。
さて、そんな私であるが、実はもともと拡張現実に関する研究者でもなく、拡張現実の基礎技術を専門に開発するエンジニアでもない。拡張現実の技術や効果に魅せられた「1人のユーザー」である。私がなぜ、拡張現実の世界に足を踏み入れたのか。そのきっかけを説明したいと思う。
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