堀田氏は現在の課題も率直に話す。例えば、組織全体での「データ活用スキルの向上」だ。
データ活用の環境は整ったものの、現場の商品企画やマーケティング担当者は日々の業務に忙殺されがちで、詳細な分析まで時間を確保することが難しいのが実情だという。CS-DX推進部では、この課題にもAIを活用していく方針だ。
「AI活用で分析を効率化し、従来は手の届かなかった改善領域にも取り組んでいきたいと考えています。より付加価値の高い業務に時間を注ぎ、お客さまの期待を超える体験価値を提供していくことがこれからの目標です」(堀田氏)
パナソニック くらしアプライアンスの取り組みを振り返ると、単なる業務効率化を超えた価値創造のモデルケースが見えてくる。月次報告作業180時間の削減という数字は確かに印象的だが、より重要なのは、その時間を活用してSNS分析という新領域に取り組み、実際の商品開発に貢献している点だろう。効率化により余力を生み出し、その余力を顧客価値向上に充てるという好循環を構築している。
同社の事例は「データをどう収集するか」から「データをどう活用し、どう進化させ続けるか」への転換を示している。
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