【マーケター即実践のプロンプト】SNS投稿のエンゲージメントを高めるAI活用、ポイントは?電通デジタルが読み解く、SNSマーケの最旬トピックス(2/2 ページ)

» 2025年09月02日 06時00分 公開
[矢部みのりITmedia]
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企画やキャンペーンをAIに評価してもらう方法

 AIを活用すると、投稿案についてコメントやフィードバックをもらうことができます。感想投稿分析で発掘したペルソナや、自社投稿分析で見えたENG獲得のコツをプロンプトに反映させて投稿案を入力することで、「どんな印象を持つか」「アクションを起こしたくなるか」「さらに良くするは?」といった意見やアドバイスを簡単に収集できます。

 今回は、架空のシャンプーブランドの投稿案(2案)を例に、AIからどのようなフィードバックを得られるのか紹介します。

 以下のプロンプトには、前編「Instagramからプロモーションのヒントを得る」で発掘したペルソナのうち、「3. 家族や親子でシェアする“ヘアケア好き”女性」を反映させています。この箇所は想定ターゲットに合わせて調整してください。

 また、ENGの高い・低い投稿の特徴についても、本記事「エンゲージメントの高い投稿を分析する方法」を参考に、実際に自社ブランドについて実践した内容を反映させると、より役立つ回答がもらいやすくなります。

(プロンプト例)

#ペルソナの人物になりきり、#X上の企業投稿に対する反応プロセス に基づき、入力される企業投稿に対して何を行うか、あるいは行わないかを回答してください。

#ペルソナ

家族や親子でシェアする“ヘアケア好き”女性

親子や家族でシェア使用。娘のサラサラ体験、母自身の実感、コスパや使い勝手も重視。

投稿例:「特に娘は癖毛(ロング)なのですが、ヘアオイルなどを使用しなくても、シャンプー/コンディショナー→ドライヤー&クシだけでさらさらになったので、喜んでいました!  私もさらさらになって大満足です」

投稿例:「細くて絡まりやすい子どもの髪もサラッとまとまってツヤツヤ」

#X上の企業投稿に対する反応プロセス

投稿をまず1秒だけみて判断したと仮定し、どういうアクションを取るかをシミュレーションしてください

(1)は1秒以内に判断してください

各ステップ順に、(2)で止まった場合は(3)以降は思考不要です。

(1)自分に関係なさそうなのでほぼ読まずにスルー

(2)ちゃんと情報を読んでみたいとは思うが低関心

(3)自分にとって有益な情報かもしれないと思う、中関心

(4)とりあえず、いいねしてみる

(5)キャンペーン等の応募のためリポスト・コメントする

(6)(インセンティブではなく)誰かに広めようと思ってリツイートやブックマークをする

#ENGが高い投稿の特徴

インフルエンサーや人気キャラクターとのコラボ、限定グッズプレゼントなど「参加型」「インセンティブ」がある

ハッシュタグ活用+リポスト、コメント、フォローなど参加アクションが具体的

画像がカラフルで分かりやすく、誰が興味を持つ内容か一目で分かる

匂わせ(予告)系で参加や予想を促す仕掛けがうまい

VTuberやアニメキャラなど話題性が高いIPとのタイアップ

#ENGが低い投稿の特徴

情報通知のみで参加やインセンティブ(応募型)がない

広告設置報告など「見るだけ」「告知のみ」で終わる内容

コンテンツの使用感や限定性が弱く、一般ユーザーに直接的なメリットがない

写真や画像もシンプル/状況説明が主体で、SNS映えや拡散意欲を刺激しにくい

コメントを促す工夫や問いかけがほぼない

#回答について

  • ステップのうちどこまですすめたかを回答してください
  • 記載の通り、関心を持てなければ途中でスルーをしてください。
  • ステップ回答後、理由や改善案をコメントしてください

#回答例

(2)ちゃんと情報を読んでみたいとは思うが低関心

評価ポイントあるいは改善案:(150文字程度)

入力例1

(電通デジタル作成)

出力例1

(2)ちゃんと情報を読んでみたいとは思うが低関心

評価ポイントあるいは改善案:海×ボトル写真は爽やかだけど、娘と使うイメージや効果が伝わらず、関心がわかない。くせ毛がドライヤーだけでサラサラ等のビフォーアフター、親子OK/低刺激の明記、価格・容量/詰替のコスパ、香りや使用動画、体験談募集があれば「いいね」やリンク確認したい。

入力例2

(電通デジタル作成)

出力例2

(5)キャンペーン等の応募のためリポスト・コメントする

理由・コメント:

フォロー&リポストのキャンペーンで、商品が夏らしく爽やかな印象。家族で使えるヘアケアアイテムとして気になる点や、おトク感もあって応募意欲が高まる。ただ、娘や家族が喜ぶサラサラ体験など、“ユーザーの体験感”や「子どものクセ毛も……」といったベネフィット要素も一言でいいので入ると、より親子・家族の共感や信頼度UPになりそうです。

 AIに投稿案を評価してもらうことで、自分では気付きにくい新たな視点やヒントを得られるのが大きなメリットです。AIの意見が必ずしも正解とは限りませんが、参考意見の一つとして活用することで、投稿案の質向上や新たな発想につなげることができるでしょう。

まとめ

 この記事では、AIを活用したSNSマーケティングの具体的な事例や、実際に使えるプロンプトについて紹介してきました。AIは、決して「完璧な答え」を出してくれる魔法のツールではありません。しかし、投稿データの分析やアイデア出しといった業務の幅を広げてくれる、非常に心強い味方になるはずです。

 日々忙しいSNS運用の中で、AIを上手に取り入れることで、作業の手間を減らしながら、より良い成果を目指すことができるでしょう。まずは気になったプロンプトや方法から、手を動かして試してみることをおすすめします。AIを上手に取り入れることで、新しいSNSマーケティングの形を試してみませんか。

著者紹介:矢部みのり

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1996年生まれ。ネットセキュリティ会社にてSNSの炎上監視やソーシャルリスニングを経験し、2022年に電通デジタルへ入社。

現在はデータ&AI部門ソーシャルテック事業部に所属し、大規模なソーシャルデータの解析やインサイト抽出に携わる。

さまざまな業界のソーシャルリスニング経験を経て、最近はAIを活用したSNSデータ分析の効率化・高度化や、SNSデータを基盤としたマーケティングツールの開発など、AI活用の推進や開発を主なミッションとしている。

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