AIを活用して「自社のSNS投稿を分析する方法」「実際のキャンペーン投稿を評価してもらう方法」について解説します。
デジタルマーケティングの世界では、大きな変化のうねりの中で日々、新たなアイデアやトレンドが生みだされ続けている。そんな中でも、特に生活者との重要なコミュニケーションの場になっているのがSNSだ。生活者の心を動かし、ブランドグロースや事業成長に寄与する施策はどんなものだろうか。また、SNSで話題になっては消えていくトピックスの中で、本当にキャッチアップするべきものをどう選別し、そしてどんな視点で解釈するべきか。日々さまざまなマーケティング施策やコンテンツに触れている、電通デジタルのメンバーがSNSマーケの最旬トピックスを解説していく。
AIの進化により、SNSマーケティングの現場でもAI活用が急速に広がっています。
前編の記事では、XやInstagramでに寄せられた口コミや感想投稿をAIで分析し、商品の訴求に関する戦略立案をする際のポイントを解説しました。後編では、AIを活用して「自社のSNS投稿を分析する方法」「実際のキャンペーン投稿を評価してもらう方法」について解説します。
実際にどのような投稿にしていくかを検討する際、現時点で自社の投稿は何が気に入られているのか、あるいはどのような内容だとエンゲージメント(以下、ENG)が伸びづらいのかを認識しておくことは大切です。その際も、AIを活用すればフラットな目線で効率的に分析してくれます。
担当しているアカウントの特徴を出してみましょう。高ENGの投稿と低ENGの投稿をそれぞれ数件から十数件ずつピックアップし、各投稿の内容とENG数値が一緒に表示されている画面をスクリーンショットします。これら複数の画像をまとめて、以下のようなプロンプトとともに入力します。
あなたはSNSに強いインフルエンサーです。企業投稿のスクリーンショットを入力するので、特徴をまとめてください。
#入力データ
#回答方法
(1)スクリーンショットの数字を読み解き、それぞれの投稿内容の要約と獲得ENGを文字に起こす
(2)(1)を踏まえ、
を出力する。
(1)スクリーンショットの数字読み取り(要約+獲得ENG)
【エンゲージが高い投稿】
【エンゲージの低い投稿】
【クリエイティブ】
人物/キャラクター中心。青空2ショット、白黒ティーザー、動きのある動画など感情喚起系
高品質な映像・ビフォーアフター比較で「効果」が一目で伝わる
色調は明るく抜け感、もしくはシネマティックでメリハリ
【テーマ・内容】
人気IP・タレントとのコラボ、配信予告、カウントダウンなど「待機・参加」を促す話題
ミステリー要素(シルエット/coming soon)や重大発表の匂わせで会話が発生
生活ベネフィット(ドライヤー時短・つるサラ髪)をストーリーで提示
【CTA】
「予想を引用リポストで教えて」「ハッシュタグで参加」「ぜひ見てね」など具体的
【ユーザーとの距離感】
ファンコミュニティ目線の言葉遣い・絵文字活用でフレンドリー
予想募集やカウントダウンで双方向性を作る
【コミュニケーション】
ハッシュタグ企画/チャレンジでUGC(引用RP・感想投稿)を誘発
リプ・RPが多く会話量が増える
【クリエイティブ】
OOH掲出の現地写真や商品単体の静止画・情報図解など“記録”寄りで動きが少ない
人物の表情・ストーリーが弱く、色のコントラストも平板
【テーマ・内容】
掲出報告・お知らせ中心で、ユーザーのベネフィットや発見が薄い
地域限定情報は関心が局所化
【CTA】
「見に行ってね」程度で、いいね/保存/コメント等の具体的誘導がない
【ユーザーとの距離感】
企業目線の広報調。質問投げかけや参加促進が少ない
【コミュニケーション】
ハッシュタグはあるがUGCの呼び水が弱く、リプ・引用RPが伸びにくい
高ENGは「コラボ×ティーザー×動画×参加型」の掛け算で、期待と会話を生む構成。
低ENGは「お知らせ静止画」型。人物・ストーリー・参加導線を追加すると改善余地あり。
言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、AIを使って投稿内容や傾向を客観的に言語化することで、自分では気付きにくかったポイントを発見できる場合も多く、チームで共通の認識を持つことにもつながります。自社の投稿データであればアクセスしやすいかと思うので、まずは一度試してほしい活用方法です。
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