【マーケター即実践のプロンプト】SNS投稿のエンゲージメントを高めるAI活用、ポイントは?電通デジタルが読み解く、SNSマーケの最旬トピックス(1/2 ページ)

AIを活用して「自社のSNS投稿を分析する方法」「実際のキャンペーン投稿を評価してもらう方法」について解説します。

» 2025年09月02日 06時00分 公開
[矢部みのりITmedia]

連載:電通デジタルが読み解く、SNSマーケの最旬トピックス

デジタルマーケティングの世界では、大きな変化のうねりの中で日々、新たなアイデアやトレンドが生みだされ続けている。そんな中でも、特に生活者との重要なコミュニケーションの場になっているのがSNSだ。生活者の心を動かし、ブランドグロースや事業成長に寄与する施策はどんなものだろうか。また、SNSで話題になっては消えていくトピックスの中で、本当にキャッチアップするべきものをどう選別し、そしてどんな視点で解釈するべきか。日々さまざまなマーケティング施策やコンテンツに触れている、電通デジタルのメンバーがSNSマーケの最旬トピックスを解説していく。

 AIの進化により、SNSマーケティングの現場でもAI活用が急速に広がっています。

 前編の記事では、XやInstagramでに寄せられた口コミや感想投稿をAIで分析し、商品の訴求に関する戦略立案をする際のポイントを解説しました。後編では、AIを活用して「自社のSNS投稿を分析する方法」「実際のキャンペーン投稿を評価してもらう方法」について解説します。

写真はイメージ、ゲッティイメージズ

エンゲージメントの高い投稿を分析する方法

 実際にどのような投稿にしていくかを検討する際、現時点で自社の投稿は何が気に入られているのか、あるいはどのような内容だとエンゲージメント(以下、ENG)が伸びづらいのかを認識しておくことは大切です。その際も、AIを活用すればフラットな目線で効率的に分析してくれます。

 担当しているアカウントの特徴を出してみましょう。高ENGの投稿と低ENGの投稿をそれぞれ数件から十数件ずつピックアップし、各投稿の内容とENG数値が一緒に表示されている画面をスクリーンショットします。これら複数の画像をまとめて、以下のようなプロンプトとともに入力します。

(プロンプト例)

あなたはSNSに強いインフルエンサーです。企業投稿のスクリーンショットを入力するので、特徴をまとめてください。

#入力データ

  • エンゲージの高い投稿
  • エンゲージの低い投稿

#回答方法

(1)スクリーンショットの数字を読み解き、それぞれの投稿内容の要約と獲得ENGを文字に起こす

(2)(1)を踏まえ、

  • エンゲージが高い投稿の特徴(箇条書き)
  • エンゲージが低い投稿の特徴(箇条書き)

を出力する。

(出力例)

(1)スクリーンショットの数字読み取り(要約+獲得ENG)

【エンゲージが高い投稿】

  • 188.9万回表示・RT4853・いいね1.4万
  • 内容:誰かと「●●●(商品名)」のコラボを示唆するティーザー投稿。ふたりの後ろ姿、空を背景にさわやかな写真。
  • 150.7万回表示、RT1.1万、いいね1.5万
  • 内容:有名な4人組グループと「●●●(商品名)」のコラボ予告。予想をリプ・引用RTで呼びかけ。
  • 107.9万回表示、RT3333、いいね3175
  • 内容:人気Vtuberグループとのコラボ配信予告。イラスト、配信URL付き。“重大発表あり”で視聴アクションを促す。
  • 78.9万回表示、RT4683、いいね1.2万
  • 内容:人気タレントコラボのWEB動画公開。ウォータートリートメント使用のビフォーアフター有り動画。ポジティブな体験訴求。
  • 60.6万回表示、RT4123、いいね1.1万
  • 内容:同シリーズ(別タレントver.)のコラボWEB動画。商品の機能&推し訴求、余った時間の使い道でユーザーに問いかけ。
  • 46.2万回表示、RT1917、いいね5073
  • 内容:「●●●(商品名)」×人気俳優(男性)のティーザー動画。コラボ告知。シックなモノクロ動画で雰囲気演出。

【エンゲージの低い投稿】

  • 1.2万回表示、RT5、いいね37
  • 内容:駅中デジタルOOH広告展開情報。キャラクター起用ビジュアルを写真付き紹介。
  • 6329回表示、RT13、いいね85
  • 内容:新製品「●●●」のレビューまとめ、商品の特徴をテキスト・グラフィックで掲載。URLリンクへ誘導。
  • 8404回表示、RT3、いいね26
  • 内容:キャラクターコラボ広告、車内広告設置情報。ビジュアルメイン。
  • 9808回表示、RT2、いいね31
  • 内容:同上、駅中OOH案内。新商品のデジタルサイネージ告知。
  • 2.1万回表示、RT18、いいね105
  • 内容:新発売「●●●」のビジュアル投稿。商品情報、機能、特徴紹介。

傾向まとめ

  • エンゲージが高い投稿の特徴

【クリエイティブ】

人物/キャラクター中心。青空2ショット、白黒ティーザー、動きのある動画など感情喚起系

高品質な映像・ビフォーアフター比較で「効果」が一目で伝わる

色調は明るく抜け感、もしくはシネマティックでメリハリ

【テーマ・内容】

人気IP・タレントとのコラボ、配信予告、カウントダウンなど「待機・参加」を促す話題

ミステリー要素(シルエット/coming soon)や重大発表の匂わせで会話が発生

生活ベネフィット(ドライヤー時短・つるサラ髪)をストーリーで提示

【CTA】

「予想を引用リポストで教えて」「ハッシュタグで参加」「ぜひ見てね」など具体的

【ユーザーとの距離感】

ファンコミュニティ目線の言葉遣い・絵文字活用でフレンドリー

予想募集やカウントダウンで双方向性を作る

【コミュニケーション】

ハッシュタグ企画/チャレンジでUGC(引用RP・感想投稿)を誘発

リプ・RPが多く会話量が増える

  • エンゲージが低い投稿の特徴

【クリエイティブ】

OOH掲出の現地写真や商品単体の静止画・情報図解など“記録”寄りで動きが少ない

人物の表情・ストーリーが弱く、色のコントラストも平板

【テーマ・内容】

掲出報告・お知らせ中心で、ユーザーのベネフィットや発見が薄い

地域限定情報は関心が局所化

【CTA】

「見に行ってね」程度で、いいね/保存/コメント等の具体的誘導がない

【ユーザーとの距離感】

企業目線の広報調。質問投げかけや参加促進が少ない

【コミュニケーション】

ハッシュタグはあるがUGCの呼び水が弱く、リプ・引用RPが伸びにくい

総括

高ENGは「コラボ×ティーザー×動画×参加型」の掛け算で、期待と会話を生む構成。

低ENGは「お知らせ静止画」型。人物・ストーリー・参加導線を追加すると改善余地あり。

 言われてみれば当たり前のことかもしれませんが、AIを使って投稿内容や傾向を客観的に言語化することで、自分では気付きにくかったポイントを発見できる場合も多く、チームで共通の認識を持つことにもつながります。自社の投稿データであればアクセスしやすいかと思うので、まずは一度試してほしい活用方法です。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

関連メディア