事業会社のマーケターとして自社の施策を取り仕切るだけでなく、他社のマーケティング支援にも携わってきた。2021年4月には独立し、コンサルティング企業である株式会社MJを設立。多くの日本企業を支援してきた。日本企業と外資系企業では、マーケティング組織の業務やKPI、マーケターの役割で異なる点はあるのか、両方を知る宮野さんに聞いてみた。
「外資でマーケティングが強いと言われている企業では、ビジネス戦略全体を検討し、市場でどう戦うのかを考えるのがマーケターの役割であるケースが多いです。一方日本では、どちらかというと宣伝広報の要素が強い印象があります」
「日本の企業は、プロダクトのクオリティが本当に高く、品質向上に注力しています。一方でビジネス戦略は必ずしも強くありません。商品・サービスの品質が上がったことを消費者が知らないと意味がないですし、そもそも市場の中で今クオリティを高めることが本当に必要なのか、議論する必要がある場合もあると思います」
宮野さんは、「どちらがいいというわけではない」と強調し、こう続ける。
「商品が先か、市場や顧客理解といったビジネス戦略が先か──。ビジネス戦略が先にあったほうが売り上げは必ず伸びると思っています。だからこそ、外資企業は市場のリサーチと顧客の可視化に注力しています」
では、B2CとB2Bでは、マーケターに求められる資質や役割は異なるのだろうか。宮野さんはこれまでのB2C向けでの経験を踏まえ、一概には言えないとしたものの「B2CでもB2Bでも、やることは変えないでいきたい」と語る。
「これまでB2Bの企業とお仕事をさせていただく機会も多かったのですが、よくお伝えしていたのは最終購買者を見るべきだということ。これはB2C、B2B両方で重要な視点です。顧客の先にいる消費者の購買行動を予測しなければ、市場は大きくなりません」
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