「いつかメルカリで売る」が創造する新たな市場とは? 小泉文明社長と識者が語るフリマアプリが消費を変える(1/2 ページ)

メルカリは「フリマアプリ利用者における消費行動の変化」に関する実態・意識調査結果を発表した。フリマアプリがもたらす経済効果は、配送やリペアなど周辺サービスにも大きな影響を及ぼしていることが判明した。

» 2018年08月03日 21時00分 公開
[鈴木朋子ITmedia]

 フリマアプリ最大手であるメルカリは2018年7月2日にサービス開始5周年を迎えた。フリーマーケットのように売り手と買い手の個別交渉で取引が成されるフリマアプリは、入札競争で価格が決まるインターネットオークションよりも成約期間が短く、不用品をより手軽に処分できるという特徴がある。

 経済産業省が2018年4月に発表した「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、2017年のフリマアプリ推定市場規模は4835億円。これは前年比58.4%の拡大であり、フリマアプリが初めて登場した2012年からわずか5年で、5000億円弱の巨大市場が形成されたことになる。

 中でもメルカリは、高級ブランドからトイレットペーパーの芯まで幅広い商品が取り扱われていること、ユーザー同士の駆け引きに独自ルールがあることなどで有名だが、単に話題を提供するだけでなく、C2Cのリユース分野において一大市場を創造している。

 メルカリのアプリダウンロード数は日本だけで7100万、世界全体では1億800万に上る(2018年3月31日時点)。勢いに乗る同社は2018年7月31日に「フリマアプリ利用者における消費行動の変化」に関する実態・意識調査結果を発表し、同日にメルカリ東京オフィスにおいて、調査内容に関する説明会を開催した。本稿では、調査のポイントおよび、その結果を受けて行われたパネルディスカッションの概要を紹介する。

フリマアプリの経済効果は年間約752億円

慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授の山本 晶氏

 調査は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授の山本 晶氏監修の下、全国の20〜59歳の男女1032人(男女比はほぼ半々)のフリマアプリ利用者を対象にインターネットを通じて実施された。

 メルカリの経済効果を語る上で1つの目安となるのが関連するサービスの成長だ。フリマアプリの利用前後で利用頻度が増えた店やサービスについて聞いた質問では、商品発送の目的で郵便局の利用が増えたとする回答(43.9%)が最も多く、同じく商品発送目的でコンビニの利用が増えたとの回答が39.9%、梱包資材などの購入のために100円均一ショップの利用が増えたと回答した人が33.3%で続いた。

フリマアプリの利用前後で利用頻度が増えた店やサービス《クリックで拡大》

 では、それらの利用頻度が増えた店やサービスにおいて支出されている具体的金額はどの程度だろうか。フリマアプリ利用前後で1回当たりの利用金額の変化が最も大きかったのは、クリーニング代金の683円だった。洋服類を出品前にクリーニングに出すのはマナーとして定着しているようだ。次いで「洋服のお直し」が539円。「ホームセンター」で533円の増加が認められるのは、ハンドメイドやDIY資材購入目的とみられる。これらの金額を合計すると、1人当たり年間平均で約4143円の消費増加が認められた。この金額を、メルカリが算出したフリマアプリ利用人口1814万人に掛けて推計すると、フリマアプリによる周辺サービスへの潜在的な経済効果は最大で年間約752億円に達することになる。

フリマアプリによる周辺サービスへの潜在的な経済効果《クリックで拡大》

「使用価値」だけでなく「交換価値」を評価

 山本氏はリペア(修理)に関する意識が変わっている点についても指摘した。特に、「修理が必要だがまだ使えるモノを修理して(フリマアプリに)出品してみたい」意向を持つ20代が51.9%と過半数を占めていることから、「若い世代になるほど、自分が利用するために修理するのではなく、出品するために修理することを当然と考えている」(山本氏)。

修理が必要だがまだ使えるモノを修理して(フリマアプリに)出品してみたい人の数《クリックで拡大》

 さらに山本氏は、2018年4月に実施した「『フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動』に関する意識調査」の結果も踏まえつつ、「フリマアプリの登場前は、消費者が購入するものは常に新品であると想定していたが、中古品も買うということが前回の調査で分かった。消費者は、商品を所有するものではなく利用するものだと考えている。再販することを前提にタグや付属品などを保管しておくようになり、購入時には価格や品質だけでなく、再販する際の価格を含めて判断している」と、フリマアプリの登場で、商品の「使用価値」だけでなく「交換価値」が評価されるようになっていることを指摘する。また、中古品を安く購入してリペア価格との合計金額で買うかどうかを決めるという、新たな意思決定の在り方も登場しているというのだ。

 この他、自由回答の記述からは、欲しいものがあると真っ先にフリマアプリで商品価格を調べるという消費者がいることも判明した。購入時に価格比較サイトなどで価格を調べる消費者は多いが、メルカリも検索ツールの1つとして利用されているということだ。

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