Walmartの2026年度第1四半期(2025年2〜4月)において、グローバル広告事業は前年同期比で50%の成長を遂げた。要因は米VIZIOの統合による恩恵が大きいが、それだけではない。
関税の影響が続く中、米大型量販店のWalmartにとって、広告部門が引き続き強力な利益源であり続けることは重要だろう。
Walmartの2026年度第1四半期(2025年2〜4月)において、グローバル広告事業は前年同期比で50%の成長を遂げた。これは、コネクテッドテレビ(Connected TV、以下CTV)機器メーカーである米VIZIOの統合による恩恵が大きいと、決算報告書にて明かされた。
最高財務責任者(CFO)であるジョン・デイビッド・レイニー氏は、アナリスト向けの決算説明会において、VIZIOを除いた「同一条件ベース」で見た場合でも、広告部門は前年比27%の増加を記録したと述べた。また、Walmartの米国向け小売メディア部門である「Walmart Connect」(ウォルマート・コネクト)は、VIZIOをまだ含まない状態で、同期間に広告売り上げが前年比31%増加した。
レイニー氏によれば、広告事業と会員サービスを合わせると、Walmart全体の利益の4分の1を構成しているという。こうした収益源の多様化は、決算報告でも主要な焦点となった関税の影響に対する耐性強化に資すると考えられる。
Walmart経営陣が、関税上昇による価格引き上げについて慎重な姿勢を見せたこと、そしてそれに対してトランプ政権が同社を非難したことが、第1四半期決算に関する議論の多くを占めた。しかし、米中貿易戦争の応酬を超えて、この四半期は同社の小売メディア事業が引き続き好調であることを示す結果となった。特に、最近CTVプラットフォームであるVIZIOの統合が完了した点が注目される。
VIZIOを除外しても、Walmartの広告分野は好調を維持しており、米国小売メディア部門「Walmart Connect」の収益は前年比31%増となった。こうした広告部門の成長がけん引し、Walmartのeコマース(電子商取引)事業は、第1四半期に初めて黒字化を達成した。期間中の総収益は2.5%増の1656億ドルとなったが、市場予想の売り上げには届かなかった。
Walmartは2024年、CTV分野における競争力を強化すべく、23億ドルでVIZIOを買収している。CTVと小売メディアの融合が進むなか、今春の「アップフロント」(upfronts、広告主が年間広告枠を予約・購入するための業界イベント)において、小売メディアのデータがCTVおよびデジタル動画キャンペーンを強化する手段としてますます活用されていることが示された。
VIZIOの統合により、Walmartはプレミアム動画領域での能力を強化すると同時に、視聴データや広告主との直接的な関係といった貴重な資産へのアクセスを得た。小売メディア分野での競争が激化する中、これらの資産は特に価値を持つ。なぜなら、AmazonはCTV分野において、Fire TVやPrime Videoといった成熟したプラットフォームを有しており、広告事業規模もはるかに大きいからである。
広告部門を今後も強力な利益源として維持することは、消費者マインドが悪化し、マクロ経済情勢が不透明な中で、Walmartにとって極めて重要である。同社はすでに、一部のブランドの売り上げが低迷しているにもかかわらず、広告パートナーに対し小売メディアへの年間支出拡大を促していると、米マーケティング誌の「Adweek」(アドウィーク)は先月報じている。
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