前述の気になった点から仮説を考えます。そこから、仮説が合っているかを確認するための分析項目を決めていきます。さらに、分析から得られた気付きから、どのような改善案が考えられるかまでを解説していきます。
ページ内でのユーザー行動(滞在時間、スクロール、コンテンツの利用状況など)の分析項目も出てきます。GA4のイベント取得やヒートマップツールなども活用しましょう。
TOPページはあまり情報がないため、ユーザーはザッとスクロールしてヘッダーのボタンを押すのではないか。
分析項目
ページの滞在時間とスクロール率を確認する。ページ中部にある「CASE STUDY」より下を見ている人の割合をチェックする。
考えられる施策案
ファーストビュー以下のコンテンツやリンクの見直し。
私はヘッダーの「サービス」から「カスタマーデータ活用支援」へとすぐに遷移したが、他の人はどうか。ヘッダー内で「サービス」が一番ニーズがあるかを確認する。「私たちについて」はあまり興味が湧かなかったので。
分析項目
新規訪問者のTOPページからの遷移先を見る。ヘッダーのリンクとページ内のリンクが区別できるのであれば、その割合も確認する。
考えられる施策案
ヘッダーの並び順を検討する。ヘッダーにある「私たちについて」「企業文化」「チーム」があまり押されていないのであれば、統合も検討する。さらに、そもそもヘッダーが利用されていないのであれば、TOPページ内にもヘッダーにある内容を、補足説明をつけてリンク追加する。
私は「カスタマーデータ活用支援」のページで、「Phaseと実施概要」や「支援してきたプロジェクト」の一部を詳しく読んだが、他の人も興味を持っているか。これを見ることでCV(コンバージョン)などの成果につながっているのか。
分析項目
該当箇所の滞在時間、スクロール到達率を確認する。画像拡大のクリック数やクリック率を確認する。さらに、このような行動をした人とそうでない人のCVR(コンバージョン率)を比較する。
考えられる施策案
「Phaseと実施概要」や「支援してきたプロジェクト」の量を増やす、詳細の追加などでコンテンツを充実させる。あるいは、「支援してきたプロジェクト」をダウンロード用にホワイトペーパー化して、リード獲得に役立てる。
自身でWebサイトを利用して気になる点を洗い出す方法だけでは、Webサイト内全てのページを動き回ったり、全ての機能を利用したりするわけではないので、全体に対しての気付きは得づらくなります。
そこで、もう一つの方法も合わせて行う必要があります。そもそも、分析を行う目的は、Webサイトで設定している成果を増やすためですから、「CVしたユーザー」と「CVしなかったユーザー」を比較して気付きを出します。
下記が比較分析に使う代表的な10項目です。これらの項目は必ず確認しておきましょう。この中でユーザー行動の違いがあれば仮説出しのヒントになります。
1.流入元
2.訪問回数
3.デバイス
4.入口となったページ
5.閲覧したページ
6.利用している機能(お気に入り・絞り込み)
7.利用している検索条件(検索機能がある場合)
8.閲覧している商品詳細のページ数 (商品を探すサイトの場合)
9.入力フォームや購入プロセスの1つ前のページ(どのページが成果につながりやすいか)
10.ユーザー属性(年代・性別・エリア)
今回は、Webサイト改善を効率よく行うための仮説の洗い出し方と分析項目について解説しました。このような手順を事前に知っていると、安心して分析や改善に取り組めるようになります。皆さんの分析手順にも取り入れてみてください。
次回は、改善案の考え方に焦点を当てて解説します。
おがわ・たく UNCOVER TRUTH CAO(Chief Analytics Officer)。Webアナリストとしてマイクロソフト、ウェブマネー、リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務。解析ツールの導入・運用・教育、ゴール&KPI設計、施策の実施と評価、PDCAをまわすための取り組みなどを担当。全国各地で講演を毎年40回以上行っている。
UNCOVER TRUTHは、データ活用基盤であるCDP「Eark」の提供や、それらCDPの構築と活用を支援するコンサルティングサービスと、コンテンツデータによるユーザー体験分析ツールの「Content Analytics」を提供しております。各ソリューションを通じて、企業が保有する1stPartyDataの分析や活用を促進しています。
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