博報堂が提唱 AIエージェントとの対話を起点とした新たな購買行動モデル「DREAM」とは?これが近未来の買い方

博報堂買物研究所が2025年の購買体験を予測する「買物フォーキャスト2025」を発表し、AIエージェントとの対話を起点とする新しい購買行動モデル「DREAM」を提唱した。

» 2025年01月22日 20時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 博報堂のシンクタンクである博報堂買物研究所は、2025年の購買体験を予測する「買物フォーキャスト2025」を発表した。その中で、AIエージェントと共に進化する新しい購買行動モデル「DREAM」をした提唱している。

「DREAM」が示す5つの購買プロセス

新しい購買行動モデル「DREAM」(画像は博報堂のプレスリリースより)

 「DREAM」は、AIエージェントの普及に伴いもたらされる、リアルタイムでパーソナライズされた新しい購買体験を体系化したモデルだ。以下の5つのプロセスで構成されている。

  1. Dialogue(対話)
  2. Recommended(推奨される)
  3. Experience(体験)
  4. Assurance(確信/承認)
  5. Management(管理)

 生活者はAIエージェントとの対話を通じて自身の好みや価値観(現状では過去の購入履歴や検索履歴など)を共有し、AIエージェントはそれを基に生活者の明確なニーズを把握する。今後技術の進化により、対話から生活者自身も気づいていない潜在的なニーズを発見し、さらに深くパーソナライズされた提案を目指す。

 生活者はAIエージェントから自分に適した選択肢の提案を受け取る。AIエージェントによる的確な提案と生活者自身の直感が融合し、納得感のある最適な選択肢が選び抜かれる。

 リアルな環境では商品の実際の使用感を体験し、VR/ARが普及すれば「リアル+バーチャル」が融合した購買体験が可能になる。触覚や嗅覚といった視聴覚以外の感覚域でも高精度化が進めば、商品選びがより具体的で豊かな体験となり、生活シーンとの適合性をイメージしやすくなる。

 リアルな環境と仮想体験で一定期間試用することで、生活者は商品の特性や生活シーンへの適合性を多角的に検証でき、確信が得られた段階で、AIエージェントを通じて商品やサービスを購入する。この「リアル+バーチャル」の融合した体験プロセスが、安心感を高め、後悔のない選択を可能にする。

 商品の使い方確認やメンテナンス依頼もAIエージェントを通じてできる。商品使用履歴や使用中の生体情報、感想をAIエージェントに共有することで、自分の嗜好や傾向をより深く理解してもらえるようになり、次回のDialogueフェーズで活用される。

DREAMモデルから導かれる4つの変化

 博報堂買物研究所は、このモデルから、近未来に起こり得る4つの変化を予測している。

  1. 商品の探し方は「検索」から「対話」へ:購買プロセスの出発点が「情報を探す」から「対話を通じてニーズを引き出す」へと変わる。AIエージェントとの対話を通じて、生活者の顕在的なニーズだけでなく、潜在的なニーズまで自然に拾い上げることが可能になり、生活者自身が気づいていない新たな発見や満足感を提供する。
  2. 選択の仕方は「自分で決める」から「AIエージェントと決める」へ:膨大な情報を自分で比較・選択する負担が軽減され、AIエージェントが嗜好や行動データを基に的確な提案を行う。これにより、商品選びの効率が格段に向上し、特に高額商品においても短期間で購入決定が可能になる。選択のストレスは軽減され、より直感的で満足感の高い購買体験が実現する。
  3. 商品試用は「リアル」+「バーチャル」での体験へ:商品体験が実店舗での試用に加え、VRやARを活用した仮想体験へと拡大する。視覚や触覚だけでなく、嗅覚なども仮想的に体験できるため、購入前に商品の適合性をより深く確認できる。
  4. 顧客の声は「一部」から「みんな」へ:AIエージェントとの共存により、これまで以上に豊かで充実した購買体験が実現する。今後は「どんなAIエージェントからの提案が欲しいか」が購買プロセスにおける重要な要素となる可能性がある。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

関連メディア