クニエがD2C事業の従事者を対象に実施した調査の結果によると、D2C事業が成功した企業はわずか32%にとどまり、68%が失敗していることが分かった。
NTTデータグループのビジネスコンサルティング会社クニエは、新たなコンサルティングサービスである「D4C診断ツール」の提供を開始した。これはD4C(Direct For Consumer:顧客中心)事業の検討レベルを点検し、精査が必要な項目と対応の優先度を可視化するサービスで、企業が消費者と直接取引をする「D2C(Direct To Consumer)」の弱みをカバーし、収益拡大につなげるビジネスの企画を可能にする。
同サービスの提供に先駆けてクニエはD2C事業従事者1239人を対象に調査を実施し、その結果を「D2C実態調査レポート」にまとめた。これによると、D2C事業の成功(最重要KPI達成率が80%以上と定義)に至った企業はわずか32%にとどまることが分かった。言い換えれば68%のD2C事業は失敗ということになる。
なぜ多くのD2C事業は失敗するのか。D2C事業の導入・検討経験を持つ事業会社の事業責任者・担当者を成功層と失敗層(各250人)に分けて事業KPIの設定状況を聞くと、成功層では「売り上げ」「利益」を選択する割合がそれぞれ68.4%と66.8%だった。これに対し、失敗層ではそれぞれ51.2%と54.0%で、10ポイント以上の差が開いた。失敗層は、採算度外視でD2C事業を検討してしまっていることが考えられる。
D2C事業を主導した組織について、成功層では「経営企画・全社事業企画系部門」が最も多く5割近くを占めるのに対し、失敗層では「開発/技術系部門」が最も多く、成功層を10ポイントも上回った。
D2C事業を企画・検討するに至ったきっかけとして、成功層で最も多かった回答は「経営層/上層部からの指示があったから」で、25%を超える。一方、失敗層では「既存商流に課題を抱える」「顧客との直接的な接点構築が必要とされている」などの回答が多い。
企画開始の時点できちんと収支を意識していること、全社横断組織の下に各部署のノウハウを集結させる体制が整っていること、そしてトップの意思が介在していることが、D2C事業の成功確率を上げるための重要なポイントであることがうかがえる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.