意外だった? リードナーチャリングが「SEO」にも重要な理由を解説SEOタイムズ編集部が初心者向けにわかりやすく解説

今回は、主にB2Bのビジネスに従事する人に向けて、SEOで効果的なリードナーチャリングの手法を解説します。

» 2024年09月27日 07時00分 公開
[谷川祐一SEOタイムズ]

 この記事では「リードナーチャリングについて理解し、SEOにも役立つ施策を実施するための方法をお伝えします。

SEOとリードナーチャリングは相性抜群

 リードナーチャリングとは、見込み客を育成(ナーチャリング)して購買意欲を高めていくマーケティング手法です。有益な情報を提供し、徐々に購買行動へと促すプロセスを通じて、見込み客(リード)を成長させていきます。

 B2Bビジネスでは一般的に購買までの検討時間が長く、リード獲得後すぐに成果を得ることは難しいため、リードナーチャリングによる信頼構築が重要になります。コミュニケーションを継続し、顧客化した後も見据えて長期的な関係を育むことも、リードナーチャリングの目的の一つと言えます。

 SEOとリードナーチャリングの組み合わせは相性抜群です。SEOは検索結果上位を獲得して集客を図ることですが、これは言い換えれば、GoogleやYahoo!などの検索エンジンを使って問題を解決しようとする見込み客に出会うための施策ということです。SEOで集客した見込み客の関心を、リードナーチャリングによって高めていくことで、最終的な購買可能性が高まるからです。

 リードナーチャリング後は、リードクオリフィケーションというステップに移行します。リードクオリフィケーションとは、購買意欲が高い見込み客を選別するプロセスです。この段階で、潜在顧客を整理し、営業やフォローアップの対象として適したリードを見極めます。

 獲得したリードは、以下のように分類できます。

  • 商品について興味があり購買意欲も高い、商品について理解している
  • 商品について興味はあるがそこまで知識がない

 この場合、前者のリードに対して商談をしたほうが成功率は上がるでしょう。逆に、後者のリードは、商品理解が深まるまでリードナーチャリングを継続する必要があります。

 顧客との接点を増やして、しっかり育成することが重要です。商品の理解を深めてもらい、成約につなげることを意識しましょう。

SEOの観点でリードナーチャリングはどのようなメリットがあるのか

 リードナーチャリングを行うメリットを整理すると、以下の3点が挙げられます。

  • 見込み客を競合に取られにくくなる
  • 長期的に顧客をフォローできる
  • 作成したコンテンツが資産になる

 それぞれ解説していきます。

見込み客を競合に取られにくくなる

 見込み客を競合他社に取られにくくなる点は、リードナーチャリングを行うメリットの一つです。見込み客に対して定期的に有益な情報を提供し、自社製品のメリットを伝えることで、見込み客が競合に流れてしまうリスクを軽減できます。

 特定のターゲットにリーチし続けることで、売り上げにつながる可能性は高まります。営業のパイプラインを拡大するためにも、商談につながる見込み客をしっかりと育成していきましょう。

長期的に顧客をフォローできる

 リードナーチャリングを通じて見込み客をフォローし続けることは大きな意味があります。先述したように、長期的な購買サイクルを持つB2Bビジネスでは、時間をかけて顧客との信頼関係を築くことが大きな差別化要因となるからです。競合にはないコンテンツを提供し、購買意欲が低い潜在顧客にもしっかりとアピールしていきましょう。購買意欲が高まったタイミングで適切なフォローを行えば、成約の確度は上がります。

作成したコンテンツが資産になる

 リードナーチャリングの過程で作成したコンテンツは、企業の資産になります。SEOの観点で言うと、以下は特に有用です。

  • 集客を目的とした記事やメディア
  • ホワイトペーパー
  • 効果が出やすいLPやCTAの情報

 SEO記事に関しては、長期間にわたり検索エンジンからのトラフィックを呼び込み、リードを獲得し続けます。コンテンツ数が増えれば増えるほど集客に役立ち、リードナーチャリングの効果も高まるのです。

 ただし、リードナーチャリングにはいくつかの留意事項も存在します。まず、リードナーチャリングは即効性がなく、効果が現れるまでに時間がかかります。また、顧客のニーズに合わせた継続的なコンテンツの作成やフォローアップ体制を整えるために多くのリソースが必要です。さらに、顧客が思ったように購買行動を取らない場合もあるため、常に改善を繰り返しながら対応する必要があります。

リードナーチャリングの具体的な手法

 リードナーチャリングにはさまざまな手法があります。SEOで獲得したリードに対して、以下の手法を実施して教育しましょう。

オウンドメディアの運用

 オウンドメディアの運用は、リードナーチャリングにおいて非常に効果的な手法の一つです。自社ブログやWebサイトを通じて、見込み客に向けて役立つコンテンツを提供し続けることで、ユーザーの信頼を獲得できます。

 特に以下のようなSEOに強いコンテンツを作成すれば、検索エンジン経由で多くのリードを継続的に獲得できます。

  • キーワード戦略を徹底して集客する
  • 定期的にコンテンツを更新してリードを飽きさせない
  • 内部リンクを強化させてドメインパワーを挙げる
  • E-E-A-Tを意識したコンテンツ作成

 オウンドメディアの作成は、ユーザーの信頼と直結する部分もあるため、徹底して作成しましょう。リソースが必要になりますが、作ったコンテンツは会社の資産になるのでおすすめの施策です。

ウェビナー

 ウェビナーは、見込み客に直接的な情報を提供できる効果的な方法です。顧客に対して、リアルタイムでプレゼンテーションや説明を行い、質疑応答を通じて関心を引き出せます。

 SEOと組み合わせる場合は、獲得したリードに対して限定コンテンツとしてウェビナーへの招待を送る方法があります。

 この場合、リード獲得のステップでは公式ラインやメルマガ登録などをCV地点にしておくと、ウェビナーに誘導しやすくなるためおすすめです。

 ウェビナーを活用することでリードの関与度を高め、次のアクションへとつなげやすくなります。ウェビナー終了後に質疑応答コーナーを設ければ、より興味関心が高いリードを絞れます。

電話

 リードナーチャリングにおいて、電話は個別対応が必要な場面で非常に有効です。

基本的には一対一で話すことになるため、顧客の具体的なニーズや課題に対して直接アプローチできます。また、疑問を解消しながら購買意欲を引き出せる点もメリットです。

 しかし、売り手都合の強引な営業電話は見込み客の心証を悪くする可能性があるので、その点は気を付けましょう。電話をかけても拒否されないよう、顧客に適したタイミングと内容でアプローチすることが重要です。

メールマガジン

 メールマガジンはリードナーチャリングの古典的な方法ですが、現在でも非常に効果的です。定期的に有益な情報や新製品の案内を送信することで、見込み客の購買意欲を高め、関係性を強化できます。

 メールアドレスの取得に際して一つ注意したいのは、会社や部門の代表アドレスではなく、必ず担当者個人のアドレスを入力してもらうようにしましょう。また、顧客の関心に合わせた内容のメールを配信することが重要です。

SNS

 獲得したリードとの接点を増やすことは重要です。SNSの運用も、リードナーチャリングにおいて重要な施策の一つと言えます。日本でビジネスを行う企業向けのお薦めSNSは、以下の3つです。

  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram

 相手が普段、個人として友だちとやりとりするようなプラットフォームを使うことで、ビジネス外でのコミュニケーションが取れるようになります。企業用SNSとして、リードのニーズに合った情報を発信し、エンゲージメントを高めましょう。

リードナーチャリングを成功させるコツ

 SEOとリードナーチャリングを効果的に組み合わせるためには、いくつかのポイントがあります。それらのポイントを押さえることで、より効果的なリードナーチャリングを実現できます。

ポイント1:目的を明確化する

 リードナーチャリングでは、目的を明確にすることが重要です。「新規顧客の獲得」や「既存顧客のリピート購入」など、具体的に設定しましょう。目的が明確であれば適切な施策を実行しやすくなり、成果を上げられるようになります。

 実際、リードによって製品やサービスに対しての熱量は異なります。即商談に結びつくような人もいれば、しばらくナーチャリングが必要な人もいるので、それぞれのリードに合わせた対策が必要です。

ポイント2:顧客のニーズを理解する

 リードナーチャリングを成功させるためには、顧客のニーズを的確に理解する必要があります。顧客が求めている情報や解決策を提供し、信頼関係を築くことが重要です。

 ニーズを理解していると、ターゲットになるリードに対して適切な施策がわかります。しっかり訴求するためにも、ペルソナやターゲットを明確にするようにしましょう。

 カスタマージャーニーの作成、市場調査や顧客インタビューなどを通じて、顧客のニーズを深く理解しましょう。

ポイント3:CV(コンバージョン)地点の設定

 CV地点を設定して、リードナーチャリングの成果を測定することも重要です。各ステージでのCV目標を明確にし、それに向けた戦略を立てることで、リードが最終的に成約へと進む道筋を作りやすくなります。

 リードナーチャリングにおけるCV地点の例として、以下が挙げられます。

  • 公式LINEの登録
  • メールマガジンの購読
  • ウェビナー参加
  • 電話での問い合わせ

 ナーチャリングの精度は設定したCV地点によって異なるため注意が必要です。例えば、公式LINEやメールマガジンの購読は、リードが一方的にこちらの情報を欲している状態なので、何かしらの形で深くかかわる接点を作りましょう。

 一方、ウェビナーや電話での問い合わせに関しては、製品やサービスへの熱量が高いため、商談を交えたナーチャリングが効果的です。

ポイント4:組織体制を整える

 リードナーチャリングを成功させるためには、マーケティングと営業の連携が欠かせません。部門間で顧客情報を共有し、顧客に一貫した対応を行うための体制を整えることが重要です。顧客対応の質を高めて信頼関係を築くために、部門間のコミュニケーションを円滑にしましょう。

 組織体制が整っていないと、部門間での情報共有が滞ってしまい、せっかく獲得したリードを逃してしまう可能性があります。そうならないためにも、組織体制をしっかり構築したうえでリードナーチャリングをすることが大切です。


 リードナーチャリングは、見込み客を育成し、購買意欲を高めるための効果的な手法です。適切な施策を行うことでより多くのリードを獲得し、長期的な関係構築が可能になります。つまり、SEOの効果を高めることにつながります。

 短期間で成果を出すことはできませんが、見込み客の流出を防ぐこともできるため、長期的に見るとCV率の改善にもつながります。

 オウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングを実施している方は、この記事を参考に、ぜひリードナーチャリングに注目してみてください。

執筆者紹介

谷川祐一

谷川祐一さん

たにがわ・ゆういち GMOソリューションパートナー メディア運営チーム シニアマネージャー。SEOに特化したサイト制作に従事。さまざまな経験を経て編集責任者(リーダー)としてSEO初心者向けオウンドメディア「SEOタイムズ」とSNS運用代行サービスの立ち上げをおこなう。ランチェスター戦略をベースとしたSEO戦略の策定を得意としている。


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