デロイト トーマツが全国の20〜79歳の男女5000人を対象に実施した「国内消費者意識・購買行動調査」の回答結果を基に、消費者の価値観・マインドの変化、購買行動の決定要因などを考察しました。
デロイト トーマツは、2024年度「国内消費者意識・購買行動調査」の結果レポートを公開しました。調査は2024年4月に全国20〜79歳の男女5000人を対象に実施。レポートでは、消費者の価値観やマインドの変化、購買行動の決定要因を2022年、2023年の結果と比較して考察しています。
「この数年で変化した価値観」について聞いたところ、「コストパフォーマンスを意識するようになった」と回答した人は約27.6%、「節約とぜいたくのメリハリをつけるようになった」と回答した人は29.4%で、それぞれ3割弱を占めています。2023年に続き、経済面でのシビアな状況がうかがえます。
「節約志向が高まり、より低価格なものを購入するようになった」という回答も23.9%に達しています。節約志向は、世帯年収が少ないほど高い傾向にありますが、高所得層(600〜1000万円、1000万円以上の世帯)においても2023年調査の13.9%から16.6%まで増加していました。
消費金額は2023年の調査結果と比較すると全商品カテゴリーにおいて「増えた/大幅に増えた」という回答が拡大しました。
まず、外向き消費である「外食」「旅行」における消費が活発化しています。「外食」は「大幅に増えた」と「増えた」の合計が前年比2.3ポイント増の15.1%に、「旅行」も同2.1ポイント増の14.5%に達しています。「食料品」や「日用品」などの生活必需品も、相次ぐ値上げにより必要に迫られて消費金額が増加しているようです。また、各商品カテゴリーとも回答者の1割から3割は「消費金額が減った」もしくは「大幅に減った」と回答しており、消費を控える傾向は依然として続いていることがうかがえます。
「サステナビリティに関して取り組みを行っている企業に対する意識」では、63.6%が「サステナビリティに取り組む企業を応援したい」と回答する一方で、実際にその企業の商品やサービスの購入に至る人は14.6%でした。49%が「サステナビリティに取り組む企業を応援したいが、商品購入やサービス利用まで至らない」と答えており、2023年と大きな変化は見られませんでした。
サステナビリティに取り組む企業への意識では、女性は各世代で「応援したいと思い、その企業の商品購入やサービスを積極的に利用したい」の回答が増加傾向にあります。特に女性の60〜70代では、約2割の人が「応援し商品やサービスを利用する」と回答しています。
一方、「応援したいと思わない」「興味がない」と答えた回答者は全体の36.4%でした。理由の上位は、「役に立つと思わないから」「実態が伴わずうわべだけの取り組みに感じてしまうから」といったものでした。
調査結果全体を通じて、消費者の購買意欲は拡大傾向にあるものの、物価高の影響による「コスパ」「メリハリ」「節約」を意識した価値観への変化がうかがえる結果となりました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.