「AIインフルエンサー」をZ世代はどう評価しているのか?Marketing Dive

消費者にとってインフルエンサーは依然として重要だが、インフルエンサーに何を期待するかは単純ではない。

» 2024年05月20日 07時00分 公開
[Aaron BaarMarketing Dive]
Marketing Dive

 Sprout Socialは、2000人の消費者と300人のインフルエンサーを調査した結果をまとめたレポート「2024 Influencer Marketing Report」を公開した。同レポートによると、消費者の半数近く(49%)が、インフルエンサーをきっかけに毎月、あるいは毎週、はたまた毎日何かを購入している。インフルエンサーへの信頼度はますます上昇傾向にあり、6カ月前よりもインフルエンサーを信頼していると回答した人は30%、これまで通りインフルエンサーを信頼していると答えている人は半数近くに上る。

 しかし、インフルエンサーに対する「オーセンティシティー(本物であること)」への期待は薄れつつあるのかもしれない。Z世代の消費者のうち、インフルエンサーのオーセンティシティーを最も重視すると答えたのはわずか35%で、フォロワー数を重視すると答えたのは47%だった。

 生成AIは、インフルエンサーの分野でもその地位を確立し始めているが、AIが生成したインフルエンサーの利用については、消費者の態度は複雑であり、話題のテクノロジーがマーケターにとって落とし穴になり得ることを示している。

消費者の約半数がインフルエンサーの影響でモノを買っている

 インフルエンサーたちは、特に若い世代 (Z世代とミレニアル世代) の消費者の間で、その呼び名に恥じない活躍をしている。調査対象の消費者のほぼ半数が、「インフルエンサーの影響で購入を決めている」と回答したのだ。この数字は若い世代の影響を大きく受けている。インフルエンサーをきっかけに毎日、あるいは毎週購入する人は、ミレニアル世代またはZ世代に多い。

 ミレニアル世代とZ世代の消費者には、インフルエンサーが自分と同じ価値観であったりオーセンティシティーを備えていたりすることよりも、彼らのインフルエンサーとしての評判を優先する傾向も見られる。頻繁に購入する消費者がインフルエンサーの中で最も重視する特徴として、「投稿頻度」(58%)や「フォロワー数」(42%)が、「個人の価値観」(32%)や「オーセンティシティー」(21%)を大きく上回った。

 「信頼は、消費者に無限の購入オプションがあるように見える市場で競争するあらゆるブランドが構築しなければならない貴重な資産だ」と、Sprout SocialのCMO(最高マーケティング責任者)であるスコット・モリス氏はニュースリリースの中で述べている。

 その消費者の信頼が、生成AIの台頭によって揺らいでいる。マーケターはAIによってクリエイターを生成しようと試しており、影響はインフルエンサーの分野にも及び始めている。調査対象となった消費者の3分の1以上(37%)は、AIインフルエンサーを使用するブランドに「より関心がある」と回答している。しかし、AIインフルエンサーを使用したブランドに「不信感を抱く」と答えた消費者も同じくらいの割合でいる。残りの27%は「無関心で、違いが分からない」と答えている。

 消費者とブランドの関係におけるインフルエンサーの役割も変化している。調査によると、全消費者の29%、Z世代消費者の41%、頻繁に購入する消費者の62%が、商品の感想をブランドに直接伝えるのではなくインフルエンサーに伝えたがる傾向があるという。このことから、ブランドは消費者インサイトを理解するために、インフルエンサーとより緊密に連携することが求められるだろう。

 Instagramは依然としてインフルエンサーのエンゲージメントにおいてトップのコンテンツプラットフォームだが、当然のことながら年代によって好みは異なる。Z世代の消費者はTikTokでエンゲージメントする傾向が高く、X世代とベビーブーマーはFacebookをトッププラットフォームとしている。全体的に、消費者は食品・飲料(30%)と美容(26%)のインフルエンサーコンテンツに最も興味を持っているが、これも年代によって好みが分かれる。ミレニアル世代とZ世代の消費者はフィットネスとゲームに興味があり、X世代はエンターテイメントとスポーツのコンテンツを好む。

 いずれにしても、消費者は本物で公平なインフルエンサーのレビューに関心を持つ可能性が最も高く、半数以上 (55%) が、割引コードやプロモーションコードへのアクセスがインフルエンサーのコンテンツを求める可能性を高めると答えている。

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