小売り、消費財、旅行商品の購入における「情報過多」の影響――アクセンチュア調査今日のリサーチ

消費者は意思決定にまつわる雑音に悩まされていますが、生成AIが問題解決の鍵となりそうです。

» 2024年05月14日 16時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 Accentureは、日本を含む世界12カ国1万9000人の消費者を対象に実施した最新調査で、「情報過多」の問題を明らかにしました。小売り、旅行、消費財業界における消費者の購買体験についての新たな洞察を提供するレポート「The empowered consumer」によると、消費者の73%が「選択肢が多すぎる」と感じており、75%が「大量の広告に圧倒されている」と回答しています。その結果、2023年10月から12月にかけての3カ月間で、74%の消費者が商品を購入しようとして途中でやめたことが分かりました。

「ノイズ」を減らすことがブランドにとって急務

 消費者は購入オプションを評価し、比較するのが難しいと感じています。72%の消費者が、指標や用語が一貫していないと感じており、その結果、78%は製品が本当に約束を果たすかどうかも分からないとしています。

(画像提供:アクセンチュア)

 同レポートは、相反するメッセージや広告、選択肢、レコメンデーション、アルゴリズム、アプリによる「ノイズ」を減らすことがブランドにとって急務であると強調しています。

 しかし、71%の消費者が購入決定に必要な時間と労力が改善されていない、あるいはむしろ増えていると感じています。「難しくなった」と回答したのは41%、「改善されていない」が30%で、一方で時間や労力が減ったと感じる人は29%でした。

 問題解決の鍵になりそうなのが生成AIです。Accenture シニア・マネジング・ディレクター兼消費財・サービス業界プラクティスのグローバル・リードであるオリバー・ライト氏は「消費者が生成AI技術を活用することで、今後3年間のうちに消費者の購買行動において数十年に一度の大変革が訪れると考えられます。消費者は、商品や体験について調べたり、購入したりする際に会話型生成AIソリューションを利用する意向を示しています。こうしたツールは、これまで購入の決定を促してきたセールスやマーケティングのメッセージに切り込んで来ます。これはB2C企業にとって、市場シェアを獲得するか失うかの非常に重要な局面となるでしょう」と述べています。

 Accventureは各業界の経営幹部との対話を基に、消費者が今後2年間で生成AIを活用した「アドバイザー」を急速かつ大規模に活用するようになると予測しています。実際、調査回答者の51%が会話型AIソリューションの利用に前向きです。

 ライト氏はまた、「生成AIは、1週間の予算内に収まる家族の食事、個々人のニーズに対応したスキンケア、食事制限に合ったサンドイッチなど、消費者にとって真に関連性の高いレコメンデーションを瞬時に提供できるポテンシャルを有しています」と述べています。

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