Gartnerがマーケティング人材に関する調査を実施。環境的不確実性と技術的複雑性の中で、CMOがいかにして自社の機能の将来への即応性を確保できるかを探りました。
組織のダイナミクスが進化し、テクノロジーが急速に変化する中で、生成AIを含むテクノロジーが自分たちの業界の仕事を代替する――。マーケターの87%がそうした懸念を抱いていることが、「Gartner Marketing Talent Survey」で明らかになりました。
Gartnerが2023年8月から9月にかけてマーケティング担当者627人を対象に実施した調査によると、マーケターの89%が自社での人員削減を懸念していることが判明しました。マーケターの大多数は自分のキャリアアップとスキルの準備について楽観的ですが、55%は現在の役割と仕事に対する期待が一致しないと感じています。
これは、環境の不確実性とマーケティングテクノロジーによる過度な負担によってさらに悪化しています。61%のマーケターは、過去12カ月間にテクノロジーやプロセスの変更に遭遇したことがあると明かしています。要因として挙げるのはリーダーシップの不安定さで、20%が最近、マーケティング上級リーダーの交代を経験しています。
Gartnerマーケティングプラクティスのアドバイザリーディレクター、イリヤナ・ハジストヤノワ氏はこれらの調査結果が「CMOにとって危険信号であるはず」とした上で「CMOは人材戦略に再度焦点を当て、スキルアップと変更管理に重点を置いて開発を優先し、継続的な混乱に直面しても自分たちの機能が確実に備えられるようにする必要がある」と述べています。
以下はCMOが急速に進化する状況に対応できるようにするためにGartnerが実施した追加調査の結果です。
Gartnerが2023年5月から6月にかけて405人のMarTech(マーケティングテクノロジー)リーダーを対象に実施した調査によると、63%が、マーケターには自社が保有するテクノロジースタックをうまく統合して運用するための技術的スキルが不足していると回答しています。
マーケターの50%がMarTechが複雑で使いにくいと考えており、3分の2は、学習には日々の責任から解放される時間が必要だと考えています。
生成AIの利用はすでに加速しており、マーケターの47%は既にこれを利用しています。にもかかわらず、大多数がテクノロジーによってその業界の仕事が取って代わられることへの懸念を表明しています。実際、Gartnerが2023年9月から11月にかけて822人の経営幹部を対象に行った調査では、マーケティングリーダーの26%が2024年に生成AI利用の結果として人員削減を計画していることが明らかになっています。
ハジストヤノワ氏は「従業員の不安が放置されると、不確実性が増大する環境により、マーケターは将来の成功に向けた準備が不十分になる」と述べています。
生成AIの使用率が高いマーケティング担当者は、高い燃え尽き症候群を報告する可能性が30%低く、来年仕事を辞めるつもりである可能性が40%低くなります。
「マーケティングにおけるテクノロジーの活用は常に変化しており、生成AIの導入が加速することで、パフォーマンスとエンゲージメントの向上が促進され、創造性が強化される。のみならず、マーケターは時間を自由に使えるようになり、より思考集約的な業務に従事できるようになる。CMOは、従業員を変化から完全に遮断することはできないが、従業員の賛同を確実にし、変化による悪影響を軽減するために、明確かつ透明性のある方法で、早期のチェンジマネジメントに取り組まなければならない」とハジストヤノワ氏は述べています。
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