2024年、米国ではデータドリブンマーケティングへの投資が360億ドル超え 活気づく広告市場に死角はないか?Marketing Dive

Cookieの廃止とコネクテッドコマースの台頭により、マーケターは戦略の転換に本腰を入れようとしている。

» 2024年02月14日 07時00分 公開
[Peter AdamsMarketing Dive]
Marketing Dive

 コンサルティング会社Winterberry Groupの第18回年間予測によると、米国におけるマーケティングと広告への支出は2024年に5700億ドルに達する。 10.7%の増加率は、マクロ的な圧力によって押し下げられた2023年の2倍以上だ。

Cookie廃止で進む戦略転換

 Winterberry Groupは、2024年は2023年よりも広告支出が活気づく年になるだろうとする他社の予測と足並みをそろえている。だが一方で、堅調なトップラインの伸びが全てを物語っているわけではないとも指摘している。例えば、来る米大統領選は、苦境に立たされているオフラインの分野も含め、メディアオーナーにとっては好材料となるだろうが、消費者ブランドには足かせになる。賛否両論のレトリックに巻き込まれることは避けたいし、彼らには他にもっと取り組みに集中すべき大事なことがあるからだ。

 結果として、今後数カ月のクリエイティビティーは2023年のような真面目な感じのものになるだろう。一方で、ローカル広告の価格は上昇する可能性がある。Winterberry Groupは、政治広告費が2024年に170億ドルに達し、2024年の総成長の約30%を占めると予想している。政治キャンペーンによる追い風は、数年にわたるパンデミックの後で基本的な成長トレンドが安定しつつあることも覆い隠している。

 多くの主要チャネルが変貌を遂げ、ブランドやパブリッシャーに浮き沈みをもたらしている。最近Amazonが地方テレビ局のDiamond Sports Groupと契約したことでも分かるように、リニアテレビを取り巻く最後の砦の一つであったスポーツのライブ配信がストリーミングの分野に移行しつつある。広告主は新たなビジネスチャンスと広告付きオプションの普及を追い求めるため、2024年のコネクテッドTV(CTV)への支出は前年比30%以上増加し、331億ドルに達すると予想されている。

 Winterberry Groupによれば、主要放送局はリニアとデジタルをバンドルしたり、視聴者ターゲティングのツールを充実させることによって、より規律ある取引アプローチでこれらのシフトに対応していくと思われる。リニアとデジタルの境界線が曖昧になり、効果測定はますます頭痛の種となっている。実際、調査対象となったテレビ広告主の半数以上(53%)が、チャネル間で共通の測定基準がないことを最大の課題として挙げている。データのサイロ化に起因する問題は、Winterberry Groupの調査結果で広く見られたテーマだった。

 Cookieの廃止に対処する試みは、データドリブンマーケティングを後押しするだろう。しかし、それは同時に、アドフラウドや広告費の無駄、透明性といった問題からマーケターの注意をそらすことになりかねない。そうした中で急成長しているチャネルの一つが、リテールメディアネットワークを含むコネクテッドコマースだ。Winterberry Groupによると、このチャネルの知名度が上がれば、測定やメディアバイイングの複雑さは増すことになるが、その問題はMLやAIなどの分野への投資によって解決できる可能性がある。

 「2024年にはデータドリブンチャネルへの投資が盛んになり、データ、データサービス、データインフラストラクチャへの支出は360億ドルを超えると予測されている。これは前年比13.9%の増加に当たる」と、Winterberry Groupのシニアマネージングパートナーであるブルース・ビーゲル氏は報告書に添付された声明の中で述べている。「この市場は、ずっと欠けていた成長の勢いの多くを取り戻す態勢が整っていると信じている」(ビーゲル氏)

 話題の生成AIをマーケティングに活用しようとする動きは、消費者の関心を上回り、個人データの取り扱いに関するガバナンスの懸念と衝突する可能性もある。調査対象となった消費者のうち、OpenAIの「ChatGPT」や「DALL-E」のようなソフトウェアを試したことがあるのはいまだに半数程度(51%)であり、メディアの誇大宣伝が実際の普及よりも先行していることを示している。

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