Salesforceは小売業店で買い物客と会話する生成AIをはじめとした新機能群を発表した。自社製品に続々とAIを取り込む同社の狙いとは。
Salesforceは2024年1月14日(現地時間)、NRF(全米小売業協会)が開催した「NRF Retail's Big Show 2024」で生成AI(人工知能)を利用した小売業向けの新しいツールを発表した。
SalesforceはデータとAIエンジンでCRMアプリケーションを支える仕組みとして「Einstein 1 Platform」を提供している。これが「Commerce Cloud」や「Marketing Cloud」に生成AIが組み込まれたことで、小売業者やマーケターは顧客の行動や嗜好をリアルタイムに把握し、顧客対応を最適化できるようになった。これは顧客ロイヤルティーの向上と収益拡大、従業員の生産性向上につながる。
Salesforceによると、全世界の小売業者の83%がAIによって業務効率を高めており、63%のマーケターは「事業に生成AIを取り入れるためには信頼性の高い顧客データが重要だ」としている。これを実現するために、小売業者は顧客データを信頼性の高い単一のプラットフォームに一元化し、それを使用して極めて効率的なAI主導の小売体験を促進できるソリューションが求められているという。
例えば、新機能の「Einstein Copilot for Shoppers」は買い物客とのパーソナライズされた対話を実現する生成AIアシスタントだ。買い物客はECサイトやメッセージアプリなど、小売業者のチャネル上で自然言語でのやりとりによって迅速に商品を見つけて購入できるという。
小売業者向けのツールとしては生成AIによる自然言語プロンプトを使用して迅速にEコマースサイトやページを作成できる「Page Designer」や、返品を最小限に抑えるための「Return Insights」、在庫状況を管理する「Inventory Insights」、Salesforce製品のデータを使って小売業者がトレンドをより適切に可視化し、狙いを定めた新しいコマース体験を構築できるよう支援する「Customer and Product Insights」が発表された。。
小売マーケター向けにはプロモーションの収益見込みを立てられる「Global Promotion Management」、紹介プログラム立ち上げを支援する「Referral Marketing」、ターゲティングやパーソナライゼーションを改善する「Segment Creation」、コンテンツをパーソナライズする「Content Creation」などがある。
これらの新機能は既に一般に提供されているものもあるが、多くはパイロット実施中で、2024年春または夏に一般提供が開始される予定だ(一部の機能は日本市場での提供時期未定)。
Salesforceのジュジャー・シン氏(Salesforce Customer 360アプリケーションおよびエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー)は「自社の顧客データを効果的に利用して信頼性が高く一貫性のあるコマース体験を構築している企業は、顧客ロイヤリティーと収益性が高まる。どのような企業も新しい革新的な統合型のAIを活用したテクノロジーによって迅速な購入経路と高い顧客満足度を実現し、効率化と成長を促進することに注力しなければならない」と述べた。
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