コカ・コーラも悩む「リテールメディアへどれだけ広告予算をつぎ込むべきか」問題Marketing Dive

IABが初開催した「Connected Commerce Summit」で、講演者たちは現在のリテールメディアの在り方について「耐えられない(untenable)」と、懸念を表明した。

» 2023年11月03日 09時00分 公開
[Peter AdamsMarketing Dive]
Marketing Dive

 リテールメディアが急成長を続ける一方で、このチャネルに予算をつぎ込む広告主からの不満も高まっており、リテールメディア標準化の問題への関心が高まっている。

 米国インタラクティブ広告協会(Interactive Advertising Bureau、以下IAB)は2023年9月13日、リテールメディアに関するベストプラクティスを考えるイベント「Connected Commerce Summit」を初めて開催した。

リテールメディアの標準化は喫緊の課題

 同イベントに漂っていたのは、リテールメディアの現状は多くの広告主にとって持続可能ではないという緊張感だった。あるブランド幹部は「耐えられない(untenable)」という言葉を使ったが、バイヤーが支出先について慎重な判断を迫られる中で、近い将来リテールメディアネットワークの勝者と敗者がはっきり分かれるかもしれない。

 「私はよく、この分野が統合されるか消滅するかのいずれかであると話ししている。統合とは、標準化の段階に達することであり、規制機関や団体、もしくは大きなプラットフォームが存在し、指標がサイロの外に置かれて外部に公開されるような状況を指す」とパネルディスカッションで語ったのは、Coca-Colaでコネクテッドコマース担当ディレクターを務めるケイティ・ニール氏だ。

 ニール氏は、スタートアップ的な考え方で立ち上げられた新たなネットワークが、実績ある企業のような洗練さに欠ける点を指摘する。また、それらが後塵を拝する可能性を示唆した。多くのマーケターは波乱含みのマクロ経済と格闘しており、パートナーをより厳選するようになっているからだ。

 ニール氏と共にステージに上がった食品メーカーGeneral Millsのラケル・ナヴァルスキー氏(Eコマース担当バイスプレジデント)は、「手数料について、業界やブランドが直面しているプレッシャーはなくならない。マーケティング予算は一般的に、われわれブランドにとって、ますます妥当性の証明を求められている大きな費目の一つだ」と述べた。

 このような思いは、他のブランド責任者たちの思いと重なる。ネットワークが普及するにつれ、それぞれが独自のルールを持つようになり、同じ言葉でも定義が異なるようになった。彼らはリテールメディアの状況をナビゲートするのがますます面倒になってきたと感じている。

 「誰もが不満に感じているのは、使われている言葉が一貫していても、その裏側の慣行に一貫性がないことだ」と語ったのは、Kroger Precision Marketing(KPM)でシニアバイスプレジデントを務めるキャラ・プラット氏だ。KPMは食品小売業大手Krogerのリテールメディア部門である84.51˚傘下の分析専門企業だ。

 「小売業としてそれを明確にできなければ、ブランドは私たちが伝えているビジネス成果に自信を持ち、それを信頼することを期待できない」とプラット氏は付け加えた。

「AmazonやWalmartはやる気ある? リテールメディア標準化の行方」に続く)

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