ここ数年でデジタルシフトが加速し、採用活動の在り方も大きく変わりつつあります。これからの時代における採用活動で重要なポイントとなるのが「マーケティング・PR」の視点です。
博報堂グループで採用マーケティング支援を行うNo Companyの代表、秋山真です。この連載では、オンライン化が定着しつつある採用活動の次のスタンダードについて、マーケティング視点で読み解いていきたいと思います。
新卒採用において「通年採用」という言葉が使われるようになった2018年頃から、学生が就活を始めるタイミングが分散し早期化かつ長期化の動きが加速しています。大学1、2年生のタイミングでインターンシップに参加して企業と接点を持つ人も増加しており、大学3年生の春のサマーインターンを皮切りに就職活動を始めるという動きがスタンダード化していると言えるでしょう。従来は大学3年生の3月にいわゆる就活解禁をめがけ準備をすることが一般的でしたが、ここ数年で学生と企業の接点は大きく変化しています。押さえておきたい特徴は「企業と接触するタイミングが早まっている」「接触する企業の数が増えている」の2点です。
キャリアに関する価値観の変化も見受けられます。No Companyは独自のSNSデータ分析ツール「THINK for HR」を活用して採用市場のトレンド分析を行っていますが、例えば2018〜2019年頃までSNSかいわいで注目されていた「大企業VSベンチャーどちらが就職先として良いのか?」といったイシューが最近ではあまり目立たなくなっています。大企業やベンチャー企業の定義が多様になっていることと、求職者側の企業を見るモノサシが変わったことが要因と考えられます。
2020〜2021年は「安定した環境でのチャレンジ」がトレンドになっています。ここでの「安定」とは、会社にしがみつくということではなく、若手のうちから裁量を持ってチャレンジすることで、その後のキャリアにおいてもつぶしがきくスキルを得るという文脈を指します。
メルカリやサイバーエージェントなどは、規模が大きくなってもベンチャーマインドを維持し、それがカルチャーとして醸成されてます。あるいはパナソニックやソニーなどは、日系大手企業でありながら、挑戦的なメッセージや新たな取り組みを継続的に発信しています。こうした企業に対して、SNSではポジティブなリアクションが付いています。
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