ニップンと刀が協業 マーケティングノウハウで成熟市場を拡大へ“本気”の全社組織改革

ニップンと刀は「ニップン × 刀 協業発表会」を開催し、協業を通じた両社の取り組みとその成果について発表した。

» 2024年06月22日 09時00分 公開
[ITmedia マーケティング]

 製粉業界大手のニップンは2024年6月20日、森岡毅が立ち上げたマーケティング精鋭集団である刀との協業を発表した。

 ニップンが創業以来取り組んできた「ものづくり」の力に加え、自社組織に刀のマーケティングノウハウを移植して組織力を高めることを目指す。

ニップン代表取締役社長の前鶴俊哉氏(左)と刀代表取締役CEOの森岡毅氏(右)

企業がマーケティングを“本気”で導入すれば成熟市場でも成長できる

 ニップンは刀との取り組みを「人的投資」と捉える。具体的には本社における広告、開発、営業などを集約した新マーケティング組織の立ち上げや、営業現場でのパスタ購入者を起点とした冷凍・乾燥パスタを横断した組織体制づくりなどを進めている。

 ニップン代表取締役社長の前鶴俊哉氏は協業発表会で「刀が徹底的に現場に入り込み、ニップンの社員が実戦を通してノウハウを習得することで、ニップンに強いマーケティングの力が積みあがっているという強い手ごたえを感じている」と述べた。

 刀代表取締役CEOの森岡毅氏は「企業がマーケティングを“本気”で導入すれば、成熟市場やコモディティ市場でさえ動かし成長することが可能である」と述べた。

 森岡氏によれば勝ち筋である「重心を射抜くブランド設計」の要点は以下の3つだ。

  • 消費者の本能を衝く
  • 自社の強みを生かす
  • 競合との違いを生かす

 「オーマイプレミアム」 は、まず冷凍パスタにおいてその強みである“おいしさ”を強化し、乾燥パスタでも一貫した“おいしさ”を実感できる新商品を展開。パスタ市場において、一つのブランドに統一した価値を集中させることで、効率的に成長できるという。これらマーケティングの実現において不可欠なのが、組織のノウハウ習得とマーケティング部門を超えた組織強化だ。

 2023年10月の施策開始以降、オーマイプレミアムの冷凍パスタの売り上げ(2023年10月〜2024年5月)は前年同期比で120%伸長した。乾燥パスタは、2024年3月に発売した新商品「もちっとおいしいスパゲッティ」の導入でニップン乾燥ロングパスタ全体の売り上げ(2024年3月〜5月)が前年同期比116%と成長し、わずか2カ月で1000万食を超える販売数量に到達した。シェアの伸び率も冷凍パスタで前年比プラス29ポイント、乾燥パスタでプラス32ポイントと大幅に伸長。コロナ後に停滞していた家庭用パスタ市場規模についても、冷凍パスタでプラス6ポイント、乾燥パスタでプラス7ポイント拡大したという。

 ニップンは今後も強化したマーケティング組織でより市場を活性化させながら、オーマイプレミアムブランド(冷凍パスタ・乾燥パスタ)としても本年度の売り上げ120億円を目標に、継続成長を目指す。

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