GoogleがWebブラウザ「Chrome」におけるサードパーティーCookieのサポート完全廃止を2023年後半まで延期と発表。広告プラットフォーム各社が発信したメッセージをまとめた。
Googleは2021年6月24日、Webブラウザ「Chrome」におけるサードパーティーCookieのサポートを、2023年半ばから後半までの3カ月で段階的に廃止する見込みであることを発表した(関連リンク/英語)。同社は2020年1月に、サードパーティーCookieの完全ブロックを「2年以内」としていたことから、1年以上の大幅な延期となる。
あらためて説明すると、CookieとはWebサーバ側からクライアントのブラウザへ渡す小さなデータ片のこと。CookieがあることでWebブラウザはログイン状態を保持したりショッピングカートの中身を維持したりすることができる。サードパーティーCookieは表示中のWebページ自体ではなく、そこに付随する広告など第三者のドメインが発行するCookieだ。広告主はこのサードパーティーCooKieを基に、Webサイトをまたぐユーザー行動を追跡し、相手を選んで広告を表示することができる。これが一般的なターゲティング広告の仕組みである。
しかし近年、プライバシー保護の観点からサードパーティーCookieの利用の是非が問われており、Webブラウザ提供する各社もサードパーティークッキーの利用規制を打ち出していた。「Safari」を提供するAppleはGoogleに先んじて2020年3月にサードパーティークッキーを完全ブロックしている
Googleは、プライバシーを保護しながらユーザーに関連性の高い広告を配信できる仕組みとして「Privacy Sandbox」を提唱している。しかし、Privacy Sandboxを巡っては、デジタル広告市場においてGoogleの支配力が強まることが懸念され、英国の競争・市場庁(CMA)が調査を開始するなどの動きがある。
こうした動きに対応しつつ、適切なソリューションを提供し、パブリッシャーや広告業界がサービスを移行するには十分な時間が必要という判断から、延期に踏み切ったようだ。
LiveRamp Japanが2021年3月に広告主のデジタルマーケターを対象に実施した調査では、サードパーティーCookie廃止を含む昨今の業界の変化に対して63.5%の人が「詳細を理解していない」と回答していた(関連記事)。客観的に見て多くの企業で準備が整っているとはいい難い状況だが、今回の延期により、広告主はサードパーティーCookie廃止後におけるデジタル広告最適化のための準備期間に余裕が生まれたことになる。
今回のGoogleの決定について、広告テクノロジーを提供する各社は以下のようなコメントを寄せている(各社コメントは順不同。随時更新予定)。
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