インタビュー
» 2021年03月17日 09時00分 公開

レイ・イナモト氏が提言 ニューノーマル時代を生き抜くブランドが実践すべき4つのこと世界で活躍するクリエイティブディレクターに聞く【後編】(1/2 ページ)

企業・ブランドがコロナ禍の苦境を乗り越えて生き残るため、レイ・イナモト氏は「Pivot」というキーワードを挙げ、4つの変化を提唱する。それは何か。単独インタビュー後編。

[三ツ井香菜,ITmedia マーケティング]

前編から続く)

なぜPivotが重要なのか

今求められる4つの「Pivot」

  1. 「組織のスケール」から「使い分けるスピード」へ
  2. 「独自の売り」から「独自の視点」へ
  3. 「ケーススタディ」から「ビジネスケース」へ
  4. 「理想的な未来」から「現実的な未来」へ

レイ・イナモト氏 レイ・イナモト氏

イナモト まず1つ目。これまで大企業は規模の大きさを強みにしてきましたが、変革を進める上で大事なのはスケールよりもスピードです。大きな組織は動きが遅くて当然と考えられていますが、そんなことはありません。「大企業病」という言葉に甘えてはいけない。

 2つ目は特に重要です。自社のプロダクトやサービスが機能的にどう差別化できるか、いわゆるUSP(Unique Selling Proposition)は確かに大事です。しかし、コピー&ペーストで模倣がとても簡単になった時代に、機能の差異だけで自社の存在意義をはっきりと示せるところは少ないのではないでしょうか。むしろ大事なのはPOV(Point Of View)です。2020年の米国ではBLM(Black Lives Matter)運動や大統領選をきっかけに、企業やブランドの根本的な考え方が問いただされる機会が多くありました。これからは「何を」よりも「なぜ」やっているのかが出発点になるべきだと考えています。

 3つ目は広告業界に起きていることを考えてみるといいでしょう。これまでのエージェンシーは自分たちが手掛けたキャンペーンなどの活動をより良く見せるためのケーススタディを作ることに執着し、ビジネスケースを構築することに慣れていませんでした。結果として、コンサルティングファームという異業種にエージェンシービジネスへの参入を許すことになってしまったのです。

 そして4つ目。具体的なビジネスを実行していくに当たっては、未来は遠い先の架空の話ではなく、きちんと作り上げることのできるものであることが重要です。日本企業のいわゆる「長期計画」というのは具体的なイメージが湧かないものが多いのですが、Practical(現実的)であることは意識した方がいいでしょう。もちろん、そうは言ってもある程度先を見据えることは必要です。あまりにも当たり前の、今すぐ確実にできることだけ追い求めていると、3カ月後には皆が同じことをやっていることになりかねませんから。

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