Qualtricsの調査によると、コロナ禍で従業員エンゲージメントが世界でも日本でも向上。従業員エンゲージメントの水準を左右する要因も変化しているようです。
従業員エンゲージメント(職場に誇りや愛着を持って自発的に行動しようとする姿勢の度合いを定量的に表す指標)に影響を及ぼす要因は従来、主に組織における成長の機会や経営陣のリーダーシップであると考えられてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大する中、世界中の企業と従業員が働き方の変更を余儀なくされたことで、従業員エンゲージメント構築のキードライバーにも変化が表れています。
オンラインアンケートを軸にしたXM(エクスペリエンスマネジメント)プラットフォームを提供するQualtricsは、日本を含む世界20カ国・地域のさまざまな企業で働く従業員1万1864人(日本の回答者は800人)を対象に調査を実施しました。同調査の結果をまとめたレポート「従業員エクスペリエンストレンド 2021」によると、世界の従業員エンゲージメントの平均は66%、日本は47%でした。前回調査(関連記事:「『従業員エンゲージメント』で日本が最下位――クアルトリクス調査」)の平均は53%、日本は35%であったことから、この1年で従業員エンゲージメントが大きく伸長したことが分かります。
この背景について、Qualtrics日本法人クアルトリクスの市川幹人氏(EXソリューション ストラテジー ディレクター)は「コロナ禍で働き方が大きく変化する中、企業が従業員をサポートするためにさまざまな対策を行い、従業員の連帯感が高まったと推察している」とコメントしています。
従業員エンゲージメントの水準を左右する重要な要因として、2020年はチームや会社に対する帰属意識やCSR(企業の社会的責任)活動が上位になっているのも特徴的です。コロナ禍で自分の居場所があると実感できること、会社やチームの活動に誇りを持てることが、従業員の意欲を引き出すことにつながっていることが見て取れます。
収束が見えないコロナ禍で不安を抱えた従業員が最高のパフォーマンスを発揮するためには心身の健康、いわゆる「ウェルビーイング」への配慮が不可欠です。今回のレポートは、帰属意識の高い従業員はそうでない従業員より自身のウェルビーイングを肯定的に捉えている傾向があることも明らかにしました。
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