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» 2020年07月14日 19時00分 公開

LTV増大の先へ:NTTドコモ×エーザイ×カゴメ コロナ禍で重要になる「これからのCRM」 (1/2)

新型コロナの影響で売り上げが減少し、広告予算が削減された企業も少なくないだろう。新規獲得が困難になっている分、マーケターの関心は既存顧客からの収益増へシフトしている。CRMを重視するEC先進企業3社の実践例から、今何をすべきかを学ぶ。

[三ツ井香菜,ITmedia マーケティング]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が経済に与えたダメージは計り知れない。先行き不透明な状況下で企業は投資に対して慎重にならざるを得ない。マーケティング領域は特に影響を受けやすい。消費意欲が落ち込んでいる中で広告予算が削減された企業も少なくないだろう。そうした背景も手伝い、顧客との良好な関係構築によって売り上げ貢献を目指すCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)が急速に注目を集めている。

 2020年5月29日にアライドアーキテクツが開催したオンラインセミナー「EC×デジマ談義#2〜コロナ禍でより重要になる『これからのCRM』とは」において、モデレーターを務めたシンクロ代表取締役社長の西井敏恭氏も「コロナ禍でCRMに関する相談が増えた」と実情を語る。

 同セミナーでは、CRMをテーマに3つの事業会社のキーパーソンが自社の事例を紹介。ダイレクトマーケティングの分野を中心に戦略の詳細やその成果を赤裸々に語った。スピーカーとして登壇したのは、エーザイの佐藤友昭氏、NTTドコモの長谷川誠氏、カゴメの原浩晃氏だ。

高まるCRMの重要性

 エーザイは、2010年から健康食品やサプリメントの通販事業を展開しており、今回はその通販事業におけるCRMについて語った。佐藤氏は「2015年ごろまでは新規顧客の獲得を優先していたが、実績が伸びてきてからはCRMの重要性が増し、戦略の優先順位としても上がってきた」と振り返る。

 同様に、通販事業において「年々CRMの重要性が高まっている」と話したのはカゴメの原氏。事業が大きく成長していた2017年ごろ、物流コストの上昇によって送料を顧客に一部負担してもらわざるを得なくなり、顧客獲得効率が悪化したことがあった。そこで、今後も成長を続けるならLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を向上させる必要があると考え、CRMの優先順位を上げた。

 「CRMとマーケティングはニアリーイコール。5年前からCRMの優先順位は変わらない」と語ったのはNTTドコモの長谷川氏だ。同氏は「dTV」や「dマガジン」など、20のサービスを包括するポータルサイト「dマーケット」のCRMについて話した。dマーケットはMAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー数)が右肩上がりで、現在は1100万人を記録。その中で、UIの磨き込みや集客強化にCRMを駆使している。

 CRMを行う背景には、サービスのクロスユースが進むとLTVが上がることが明確になっていることがある。そのため、dマーケット内のサービス、さらには回線事業やカード事業など、NTTドコモ全体の事業を横断しながらCRMを回し続けており、「最近は、それがより加速しているイメージ」と長谷川氏は話した。

 「CRMとマーケティングはニアリーイコール」と言い切った長谷川氏に対し、西井氏も「CRMというと、どうしてもメールやマーケティングオートメーションなどの手法の話になりがちで、そこには誤解があると考えていた」と同意する。「本セミナーにおけるCRMの定義は、長谷川さんが話していたようなところ」と続け、正しい理解を促した。

 続いて、3社がそれぞれの具体的なCRM戦略について語った。

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