Salesforceによる買収完了後初のアップデートとなる「Tableau 2020.2」 2つの強化ポイントを解説データモデルの改善とモバイル経由でのKPIモニタリング(1/2 ページ)

Salesforceによる買収が完了して日本での組織体制も一新。誰もがデータドリブンの意思決定を迅速に行えるようにするために変わったこととは。

» 2020年06月09日 21時00分 公開
[冨永裕子ITmedia マーケティング]

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Tableau Softwareカントリーマネージャー(日本)の佐藤豊氏

 2019年6月にSalesforceによる買収が発表されて以来、Tableau Softwareは粛々と買収完了に向けた手続きを進めてきた。そして2020年4月1日、同社はアナリティクス製品のブランドを維持しつつ、正式にSalesforceの一員となった。これに伴い、日本法人も従来のTableau JapanからTableau Softwareに改称し、Tableau Japanで社長を務めていた佐藤豊氏もTableau Software日本担当カントリーマネージャーとして再スタートを切った。

 2020年6月2日、新体制となって初めて開催したオンライン記者説明会で、佐藤氏は大きく2つの発表を行った。1つが国内データセンターの開設、もう1つが機能強化された「Tableau 2020.2」のお披露目である。

「Tableau Online」で東京リージョンのデータセンターが利用可能に

 Tableauはオンプレミス版の「Tableau Server」からSaaS版の「Tableau Online」まで、エンタープライズ向けのアナリティクスプラットフォームとして、顧客にさまざまな選択肢を提供している。今回、東京リージョンのデータセンターを開設したことでデータレイテンシ(遅延)の問題が改善され、日本のTableauユーザーはパフォーマンスの向上を実感するだろう。

 データ保護規制への対応も容易になる。海外のデータセンターにデータを置きたくないことを理由にSaaSの導入を避ける組織は多い。国内のデータセンターを利用できることで、金融機関や公共セクター、個人情報を扱う企業にとってTableau Onlineは、規制要件を満たす選択肢になった。

東京のデータセンターから使えるTableau Online

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大は社会の在り方や人々の行動を劇的に変えた。不確実性が増したニューノーマル(新しい日常)に適応するため、企業は意思決定のスピードを上げなくてはならない。その意味でデータアナリティクスでもクラウドに目を向ける企業は増えている。2018年6月に日本政府が発表した「クラウドバイデフォルト原則」も追い風になるとみられる。この考え方は、政府機関における情報システム調達でSaaSの利用を優先することを推奨するものだ。政府機関でクラウドへの抵抗感がなくなれば、企業にも影響が広がる。

 Tableau OnlineはITの専門家がいなくても迅速にアナリティクス環境を使えるようにしている。Salesforce製品はもちろん、「Service Now」「Oracle Eloqua」「Marketo Engage」など、多くの企業で利用されるSaaSのデータにアクセス可能で、組織内にデータに基づく意思決定を定着させることに役立つ。常に最新の機能を使えるのもクラウドならではのメリットだ。Tableau Onlineで東京リージョンを選択し、かつプレミアムサポートを契約した組織にはSLA(サービスレベル契約)も提供する。正式なリリース日は今後発表されるが、既にキリンビールなど一部企業では先行的な利用が始まっている。

 「データセンターを日本に持ってくること自体は目新しいことではないかもしれない。しかし、データ活用の重要なソリューションであるデータアナリティクス環境をセキュアなものにできることは、データの民主化において大きな一歩になる」と佐藤氏はその意義を強調する。

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