DataRobotが日本で継続率95%を誇るAI導入・活用の成功ノウハウにグローバルの知見を合わせて提供する。その狙いとは。
エンタープライズ向けAML(自動機械学習)プラットフォームを提供するDataRobotは、顧客企業のAIによる成功を支援する「AIサクセスプログラム」を2019年8月1日に開始すると発表した。
機械学習の自動化による「AIの民主化」を掲げるDataRobotは、プラットフォームを強化するために昨今、積極的な買収戦略を進めてきた。具体的には2017年5月に時系列分析のNutonianを買収したのを皮切りに、2018年4月に機械学習のAPIを提供するnexosisを、2019年に入ってからは2月にデータマネジメントのCursorを、6月にMLOps(機械学習向けのDevOps)を手掛けるParallelMを買収している。
また、2018年4月からは、シチズンデータサイエンティストの育成プログラム、プロジェクトコンサルティング、機械学習自動化ツールの3つがそろったソリューションパッケージを提供している。今回のAIサクセスプログラムは、それらの取り組みで培ったノウハウにグローバルの知見を加えて提供される。
日本では明治安田生命保険やヤマトホールディングス、パナソニック、三井住友カード、リクルートホールディングスなどさまざまな業種の企業がDataRobotを導入している。現在の導入社数は150社以上。DataRobot Japan カントリーマネージャーの原沢 滋氏は「ここにはPoC(概念実証)は全く含んでいない。正規のライセンス契約を結んでビジネスに活用いただいている。当初は1年更新のサブスクリプションでサービスを提供していたが、95%のお客さまに更新いただいている」と、個別の案件においてきちんと成果を出している点を強調する。
ただし、従来はどちらかというとデータ活用に理解が深く目的も明確なユーザーに支えられていたために導入がスムーズに進んでいたという側面があるようで「これから日本でマーケットを拡大するに当たり、成功するための方法論が必要になる」(原沢氏)との考えから、AIサクセスプログラムによりこれまでのノウハウを体系化して市場を拡張することを狙っている。
AIの導入・活用に関心が高まる一方で実装となるとなかなか進まないという課題を多くの企業が抱えている。この状況についてDataRobotチーフデータサイエンティストのシバタアキラ氏は「成功の定義ができていないまま『AIで何かやれ』といわれる。取りあえずテーマは出るが、ビジネスインパクトにはつながらずPoC止まりに終わってしまうことが多い。そうではなく事業に実装するところまでやらなければならない」と語る。
そこでDataRobotではこれまでの経験から顧客のAI活用に対する期待を以下の3タイプに分類し、各タイプに最適なAIサクセスプランを作成する。
分類タイプに応じてDataRobotまたはパートナーから提供されるプログラムには、例えば以下のようなものがある。
プログラムはDataRobotだけではなくパートナー企業にも共有されており、パートナー企業から提供されることもある。また、パートナー企業独自のAI支援サービスを付加することもできる。
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