カスタマージャーニーマップをどう描くか。「Gartner Symposium/ITxpo 2018」におけるGartnerジーン・ファイファー氏の講演の概要をお届けする。
顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)の重視を掲げる企業は多いが、これを実現するにはマーケティング部門や営業部門など、個別の組織を越えたチームでの取り組みが必要になる。しかし、現実的にはむしろ各部門はそれぞれの専門性を高め、その弊害として業務がサイロ化する傾向にある。
顧客が自社と出合い、興味関心を醸成して購入に至り、関係性を継続するようになるまでの全体像を把握し、さまざまなステージで最適な施策を最適なタイミングで実施できるようになるために、組織はどうあるべきなのか。誰が指揮を執るべきなのか。
複数の分野をカバーする混成チームによるカスタマージャーニー設計のアプローチについて、2018年11月13日に開催された「Gartner Symposium/ITxpo 2018」におけるGartnerのジーン・ファイファー氏(ディスティングイッシュトバイスプレジデント兼アナリスト)による講演からポイントをまとめた。
「カスタマージャーニーの設計は、それ自体が一つのジャーニーである」。ファイファー氏は、そう切り出した。
Gartnerが2018年に実施した調査によると、「現在のカスタマーエクスペリエンス向上プロジェクトで必要とされる、最も重要なスキル」という質問で「カスタマージャーニーのマッピングと分析」を挙げた人は26%。これは、Webやブランド、アンケート、チャットボットなどの設計を上回るものだ。
ファイファー氏は、カスタマージャーニーを設計するチームを作るためには「ダイバーシティー(多様性)」が必要だと強調する。
まず、部門間のダイバーシティー。マーケティング部門の人も営業部門の人も、エグゼクティブもIT部門の人も必要だ。技術系/非技術系ダイバーシティーという観点も必要で、前者はCIO(最高技術責任者)が、後者はCMO(最高マーケティング責任者)が統率することになる。CCO(最高顧客責任者)を設置するという手もある。
学習し、成長する組織であるためにはスキルのレベルでのダイバーシティーも考慮されているべきであるし、性別や民族、人種、年齢についてのダイバーシティーも意識する必要がある。「顧客は一律ではない。男性ばかりでもなければ白人ばかりでもない。ダイバーシティーがあることで異なったものの見方が出てくることが重要だ」とファイファー氏は語る。
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