村田 創氏
IDOM(イドム)で中古車買い取り・販売サイト「ガリバー」のWebマスターを務める村田 創(はじめ)氏は、Googleのアルゴリズム変更とシステム調整の不備から、検索流入の減少と表示スピードの低下(それに伴う離脱率上昇とコンバージョン率の低下)に悩んでいた(前回「中古車の『ガリバー』がモバイルWebサイトのスピード改善に取り組む2つの理由」参照)。この課題を、どう克服したのか。
表示スピードに関心のある読者ならある程度理解できると思うが、表示スピードの改善は主に「フロントエンドの対策」が要になる。村田氏によれば、IDOMでは次のような取り組みを実施したという。
- 広告の計測タグは後から読み込む
広告の計測タグはタグマネージャーを利用し、表示が始まったのちに読み込みされるように変更。First Byte、Start Rendering、インタラクティブの確立を速めるなど、とにかく速く画面が見えて触れられるようにすることにフォーカスした。
- 広告計測のタグの接続国を確認
広告計測のタグがどこの国につながっているかを確認し調整した。総じて、米国は速いが日本ドメインのものは遅い傾向にある。サーバの設置場所によって0.3秒くらい変化がある。
- 不明なタグは断捨離
使っていないタグは削除する。担当者が変わることで、残しておくべきか消すべきか判然としないタグはいつのまにか増えてしまう。そのため定期的に削除するようにする。
- スマホでのフォームは1つに
ロングLPにおいて、同一ページに2カ所のフォームを置く場合、1つを削除するだけで2秒以上も表示速度が変わる場合がある。フォームのチューニングは、スマホでこそ大きな効果が出る。
- ボタンはCSSで作成
ボタンや見出し類は画像を使わないでCSSで作成する。画像だけでの訴求よりもテキストで記載する方が、マシンリーダビリティとしては、良いSEO対策になる。
- Webフォントは使わない
リニューアル後、最初にやめた施策がこれだ。Webフォントは表現力向上を目的に採用していたが、日本語はアルファベットに比べてデータ量が多く、最初に読み込むファイルが大きくなり、そのため表示が遅くなる。
- 表示速度のテストは3Gの通信環境で、自宅や通勤途中に
職場でのテストはWi-Fi環境で行うことが多い。これは、通信環境が良過ぎる場合があり、意外な落とし穴になる。テストは自宅や通勤途中に、あえて3G環境で行っている。
もっともIDOMの表示スピードの改善は、コンテンツの改善などのCRO(注)と並行して行われているため、全てが表示スピード改善結果とはいえないのではないか。
この点について村田氏は次のように説明する。
「確かに全てが表示スピードの改善結果だとは言えませんが、表示スピードの改善は後回しにしてはならない施策です」
注:Conversion Rate Optimaization(コンバージョン率最適化)A/Bテストにとどまらない、さまざまな施策や取り組みのことを指す。
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