人型ロボット「Pepper」を商業施設のポイントキャンペーンへの集客に使い、その効果を検証する実験が行われている。デジタルマーケティングの文脈でPepperに期待される役割を聞いた。
2016年4月29日から5月8日まで、神奈川県藤沢市の複合商業施設「テラスモール湘南」において、アイ・エム・ジェイ(以下、IMJ)とジェイアール東日本企画が、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」と同施設のポイントカードを連動させたポイントプレゼントキャンペーンを実施している。
キャンペーンの内容は、「テラスモール湘南ポイントカード」の利用者が館内に設置された専用端末にカードをスライドすることで抽選に参加できるというもの。Pepperはユーザーを端末に案内し、抽選の進行状況に合わせてユーザーに話しかけるなど、「接客係」の役割を担う。
キャンペーンを企画する2社は2016年3から4月にかけて東京・秋葉原の「アトレ秋葉原」において同様の実験を行っており、今回はその第2弾となる。ソフトバンクロボティクスの「Pepperアプリ開発パートナー」でもあるIMJがPepper向けのロボアプリのコミュニケーション部分の開発を担い、「声掛け」などの接客機能をPepperに加えている。
Pepperと端末は有線LANで接続され、端末で行われていることは全てPepperが把握する。動作がうまくいっていない場合にPepperが「もっとゆっくりカードをこすってください」といったアドバイスをしたり、別の磁気カードを通すと警告のメッセージを出したりすることもある。また、今回のキャンペーンは参加できるのは1日1回までなので、2度目にカードを通すとPepperに注意される。
Pepperのメッセージは時計やカレンダーとも連動している。午前中であれば「おはようございます」とあいさつし、お昼どきには「お腹がすきましたね」、5月5日なら「今日は子どもの日ですね」などと語りかけてくる。
施設内に設置されたキャンペーン端末は2台。そのうち1台にPepperを配置している。Pepperの案内なしでも、もちろんキャンペーンに参加することはできる。片方だけのにPepperを配置したのは、Pepperの有無で集客効果を比較するためだ。
実際、目視で確認できるレベルでも両者の違いは一目瞭然だ。キャンペーンを担当するIMJ Smart Innovation Unit マネージャーの加茂春菜氏は「普段参加することのないお客さまがPepperの声を聞いて参加してみる気になってくれます。Pepperの集客効果は前回の秋葉原での実験でも実証されています」と語る。
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