土肥:ナショナルブランド(NB)の中でカードデータを分析して、ヒット商品につながったモノはあるのでしょうか?
倉持:ありますね。それは2012年に発売され、話題になった「キリン メッツコーラ」。これはトクホ(特定保健用食品)の商品で、当時はまだ「コーラ=トクホ」になじみがありませんでした。お客さまも手に取りにくいのではないか……と思っていたのですが、データを見ればリピート率が高い。リピート率が高ければお店に行く理由になります。分析担当者からは「たくさん仕入れたほうがいいですよ」といった話がありました。
そして「メッツコーラは売れる可能性が高いので、追加で注文しよう」ということになりました。通常、こうした商品は2週間で売り切ろうとするので、お店によっては2週目でなくなってしまう。競合他社では3〜4週目に品切れ状態になっていたのですが、ローソンでは早めに追加発注していたので、店頭からなくなることはありませんでした。
土肥:新しい市場がなかったので、本当に売れるのかな? と思った。しかしデータを見たところ、売れていることが分かった。そして会社全体で商品を取りに行こう、ということになったわけですね。
倉持:はい。PBであれば、全体でどのくらいの発注があるのか、販促はどうなっているのかが分かっているので、コントロールすることができます。しかしNBの場合はよく分からない部分があるので、データを見て3日目くらいで判断することにしています。
ローソンの場合、飲み物は年間700〜800種類ほど採用します。そのうち売れ続ける商品は、片手もありません。なのでメッツコーラが売れたのは、本当にレアなケースなのです。そのレアケースを私たちは見落としてはいけない。
土肥:なんだか“宝探し”のようですね。NBについてはリピート率を3日で判断するということですが、ちょっと変わった動きをする商品があったりするのですか? 例えば、たいして売れていないのに、リピート率はそこそこといった商品が。
倉持:あるんですよ、実は。その商品はですね……。
(つづく)
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